5

妻と二人、愛した猫。


あの、尊き日々の象徴であり、


亡き妻の、置き土産。


ミケがいたから、辛うじて生きてこれた。


一人寂しい時間を、ミケのおかげで、過ごす事が出来た。


ーお前まで、私を置いていかないでおくれ…。


一人は、辛い。


寂しいよ。


「…はぁ、はぁ」


心あたりのある所はくまなく探してみたが、どこにもミケの姿はない。


歳のせいか、走り回る事も、かなり億劫になっていた。


「…っミケ」


ーもう、あの子も、逝ってしまったのかもしれない。


そう、諦めかけた時だった。

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