3話 お約束

「お背中流させていただきますね!」

 そう言ってタオルを纏った三日月さんは突入してきた。


 だがタオルを纏っていると言っても手で抑えているだけだ。

 上半身は豊満な2つの双丘がこぼれそうになっているし、下半身は健康的なスラッと伸びた足が強調されていた。


 男子高校生にはあまりにも刺激が強すぎる光景に目を奪われていると、


「あ、あの見つめていただけるのはありがたいのですが、さすがに恥ずかしいです……」

「ご、ごめんね……」


 そう言われ視線を外したが、脳裏に焼き付いた扇情的な光景は簡単には離れない。


「とりあえずお風呂に入れていただいても大丈夫ですか? 少し寒いです……」

「そ、そうだよね。 とりあえずどうぞ」


 二人でお風呂に入ったがまたしても問題があった。

 

 先程も言ったが浴槽は広いわけではない。

 自然と密着する形になってしまい、ただでさえ削られた理性を更に削られる。


「なんで急にお風呂に来たの……?」

「将来のための予行練習です! 今のうちに慣れておけば良いかなと思いまして」

 

 少しでも良からぬことを想像しないために話を変えたが、また意味の分からないことを言い出した。


「将来のためってどういうこと?」

「将来は将来です。

 夫婦になったらこういうことは当たり前に出来るようになっておかないと良くないと聞いたのですが……」


 (まるで意味が分からない……

 一体誰に聞いたんだそんなこと)。


「夫婦でもこういうことする人は少ないと思うよ……? それに俺を練習台にして大丈夫なの?」

「優真くんと夫婦になるのに、逆に誰を練習台にするのですか?」


 三日月さんはとんでもない事を言い出した。


「え…… 俺?」

「あれ、伝えていませんでしたか?

 優真くんには将来、私の旦那様となっていただいて、私とともに歩んでいこうと言ったつもりだったのですが……」


 先程まで考えていた邪念は一気に吹き飛んだ。

 そして襲ってきたのは[?]という感情ただ一つだった。


「え、俺と三日月さんが夫婦に……?」

「はうっ…… 今私と優真くんが夫婦になると言っていただけました…… 幸せすぎてもう……」

「いや待って、夫婦になるとは一言もいっていないからね?」


 すると、めちゃくちゃ興奮していた三日月さんは、ガーンという効果音がなりそうなほど落ち込み、そのままお湯に沈んでいった。


「こ、この状況で認めてくださらないとは…… なぜなのですか!?」

「いや、だってお互いのことほとんど知らないし…… 落ち着いて考えたの?」


 俺はまだ三日月さんのことを何も知らない。

 そんな状況で判断したら将来三日月さんを後悔させてしまうかもしれない。

 俺は断ろうとした。が、


「そ、そうですか……

 優真くんがそう言うなら、夫婦になるのは今は諦めた方が良いのでしょうか……」


 そう言われ、ふと三日月さんの方を見ると今にも泣き出しそうな顔で落ち込んでいた。


(こんなに俺の事を思ってくれているのに、俺はその気持ちを簡単に無下にしていいのだろうか……)。


(それにこんな事、断ったら二度と訪れる事はないだろう。 それなのに断るのか……?)。


一瞬で迷いはなくなった。


「分かったよ。ただ一つだけ条件があるんだ」

「それは……?」


「俺はまだ三日月さんのことを何も知らない。

 そんな状況で夫婦になったら三日月さんに後悔させてしまうかもしれないと思っているんだ。

 だから2週間だけ期間が欲しい。

 待たせることになってしまうけど、その間にお互いのことを知ってじっくり考えたいんだ」


 そう言って三日月さんの方を見ると、三日月さんは涙を溢していた。


「ごめん」

「なぜ謝るのですか……?」

「俺がこんなに優柔不断なせいで三日月さんを待たせてしまうことになるからだけど……」


 すると、三日月さんは突然抱きついてきた。

 想像していたよりも柔らかい体に思わず動揺してしまう。


「ど、どうしたの?」

「泣いているのは優真くんのせいではありませんよ? 

 私が思っていた以上に優真くんが私のことを大事にしてくれていると思うと感動してしまったからです……

 私はこの人のことを選んで本当に良かったんだなと」


 そうして数分間、三日月さんは俺に抱きついていた。

 良からぬことを考えぬようにするのは大変だったが、人の温もりを感じた瞬間だった。


「落ち着いた?」

「はい!優真くんパワーも充電できましたし、これでバッチリです!

 それじゃあこれから体を洗いますね!」


(そういえば体を洗いに来たんだったな……)。

 優真くんパワーとは何なのか気になったが、そこは気にしないことにした。


「それじゃあここに座ってください」

 言われたまま座ると、三日月さんは俺の体を洗いだした。


(や、やばい…… これはまじでやばい)。

 

 シャワーの目の前には鏡があり、後ろが見えるのだが、三日月さんの胸が俺の体を洗う度に揺れているのが嫌でも見えてしまうのだ。


 (毎日こんなのを見せられて2週間…… いけるのか?)。

 そう考えていると、突然背中に柔らかい感触を感じた。


「どうですか? 体つきにはかなり自信がある方なのですが……」

「ちょ、ちょっと待って。 なにをしているの?」


 そう言うと、三日月さんは更に体を密着させてきた。

 意識しないようにしても、俺の体で潰れている胸の感触と三日月さんの荒い息づかいが伝わってくる。


「ナニって、誘惑ですよ?

 万が一2週間後受け入れてもらえないようなことになったら後悔してもしきれません。

 そうならないように持っているもの全てでぶつかるのです」

「でも、これ以上はさすがに……」


 俺の理性が持たない。


「ふふっ。 そうですね、これ以上は約束に反してしまいますからね。

 これぐらいにしておきましょうか。」


 そう言って三日月さんは俺の泡まみれの体を流してそのまま出ていった。


(俺の理性はこのまま保てるのだろうか……

というか、三日月さんほとんどお湯に浸かってなかったけど寒くないのかな)。


 俺はまた今後が不安になったのであった

 


――――――――――――――――――――



 part3

 私はまだまだ未熟でした。

 

 今のことしか考えられていなかった私とは違って、優真くんは私との将来のことまで考えてくださっていたのです。

 本当に私は優真くんのことを選んで良かったんだなと改めて思いました。

 

 そうして優真くんは2週間お互いのことを知ろうと提案してくださいました!

 こうなれば、後悔の残らないよう本気でぶつかる他ありません!

 必ず私なしでは生きられないようにしてみせます!

 

 ただ、エッチな人だとは思われなかったでしょうか……

 それだけが不安です。

 

 もう夜遅いですし、寝ようとは思っているのですが、優真くんと同じベッドで眠ると考えると眠れそうにありません……

 

 とりあえず、もうすぐ優真くんがお風呂からあがってきそうなので、寝たフリでもして反応を楽しもうと思います!

 

 まだまだ夜は長くなりそうです。



――――――――――――――――――――

あとがき


 お読みいただきありがとうございました!

 また一歩関係が進んだ回でした。

 これからどうなっていくのか!?

 自分にも分かりません(笑)。

 

 あと、みなさんに一つお聞きしたいのですが、大体一話辺りの文字数はどのぐらいが良いですかね?

 毎日投稿するので、長すぎるのは良くないと思って2000~3000字ほどにするつもりなのですが、もっと長い方が良いのでしょうか?

 反応次第でまた変えようと思います。


 最後に、前話も見ていただいてありがとうございます。

 ハートも星もいただいてとても嬉しいです。

 また次回もよろしくお願いします!


  





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