2話 まさかの事態

「それじゃあ行きましょうか。家の前に車を停めてありますので」

「分かった」


 そう言って玄関を開けると……

 目の前にはリムジンが停まっていた。

 

(え、リムジン? なんでリムジン?)。

 驚いていると、中からスーツに身を包んだ男性が出てきた。


「おかえりなさいませお嬢様、そしてあなた様が佐藤様ですね。

 お初にお目にかかります、木下と申します」

「よ、よろしくお願いします……」


(執事!? こんなの小説とかでしか見たことない…… 本物のお嬢様なのか……)。

 三日月さんのことを、また恐ろしく感じたのであった。


 そうしてリムジンに揺られること約5分。

 着いた場所は、普通の一軒家であった。


(ん……? ここか? 普通の家って感じだ。

 なるほど、ここが俺の家ってことか。

 引き取るだけでなく、家まで提供か……

 さすが有名な三日月家)。

 

 そう思っていると、三日月さんが口を開く。


「ここが私たちの家です! それじゃあ行きましょうか優真くん。

 木下さん、今日も送り迎えありがとうございました」


「いやいやいやちょっと待って! 私達の家って言った? ここに三日月さんも住むの!?」

「当たり前じゃないですか。ここは私達の家ですよ?」


 理解が追いつかない。

 

 (俺が三日月さんと同棲 確かに最初は一瞬考えたけど……)。

 

 すると三日月さんが、


「ああ、そういえばなにか話していないと思っていたらこのことでしたね。

 優真くんは私と同棲する事になっていますから。たくさん私の事を構ってくださいね?」


「いや……え? 待ってまだ理解が……」

「理解なんてそのうちできますよ。

 さあ、私達の愛の巣へ入りましょう!」


 そういって無理矢理連れ込まれた。


 三日月さんに案内されて家の中を見て回ったが、想像以上だった。

 中にあるのはどれもこれも見たことないような最新器具で埋まっていて衝撃を受ける。


「本当に俺もここに住むの……?」

「まだ言うんですか? 何回もその通りだと言っているじゃないですか。 うーん……

 そうだ、それなら一度話をまとめましょうか。 それならば分かってくれるはずです!」


 そうして三日月さんは全て話してくれた。

 

 どうやら俺はいわゆるヒモになれと言われているらしい。 家でたくさん甘えられるようにと。


 (俺もしかしてラノベの世界にでも入った?)

 

 俺は現実逃避を始めた。

 それだけありえない事を話していたのだ。

 

 ただ、話していた時の三日月さんはずっと嬉しそうな感じだったので素直に受け入れてしまったのであった。


「優真くんはもう晩ご飯を食べました? 私はまだ食べていないので今から作る予定なのですがよければ一緒にどうですか?」

「俺も食べてないからありがたくいただこうかな。 あ、それなら俺も料理を手伝うよ」


 すると、突然三日月さんは顔を赤くしてもじもじし始めた。

 

「どうしたの? まさか体調が悪かったり……?」

「い、いえ2人で料理なんて夫婦みたいだなーっと思ったら嬉しくて……」


 俺の心は無事に死んだ。

 (三日月さんはいきなり何を言っているん       

 だ!? 俺の事を萌え殺す気なのか!?)。

 

「そ、そっか…… じゃあ料理しようか」

「は、はい……」

 5分ほど恥ずかしくて顔を合わせられなくなったのは言うまでもない。


 そうして出来上がったのはとても美味しそうなカレーだった。


「「いただきます」」

 そうして一口食べてみると案の定めちゃくちゃ美味い。 具材もきれいに切り揃えられているし、ルーもとろみがあって食べやすい。


「すごい美味しいよ! 毎日食べたいぐらい」

「そういってもらえると嬉しいです」


「三日月さんはよく料理するの?」

「私は一応一人暮らしなので毎日料理します。

 でも優真くんも料理には慣れている感じでしたよね?」


「一応バイトがない日とかは親に負担をかけないよう自分が作っていたからね。 

 ある程度はできるつもりだよ」

「そうだったんですね。 優真くんの料理もまた食べてみたいです」


 そうやって話に花を咲かせていると、いつの間にか日付が変わる時間になりかけていた。


「お風呂が湧いています、お先にどうぞ」 

「いいの? なら先に入らせてもらうね」


 こういう話はずっと押し問答が続くのが定番だ。 それならば素直に提案を受けよう。


 風呂場も案の定すごい設備ばかりだった。

 (テレビもジェットバスもある。 浴槽は普通の大きさだけどさすがだ……)。


 あまりの凄さに放心していると、なにやら脱衣場の方で音がする。

(いやまさかね。そんなことあるわけが……)。


「お背中流させていただきますね!」

 そう言ってタオルを纏った三日月さんは突入してきた。


 俺は想像していなかった。

 これがまだ序の口であったことを……



―――――――――――――――――――― 



 part2

 今日も楽しい一日でした。

 

 同棲の件はなにやらすんなり受け入れてもらえませんでしたが、私が何か粗相を働いたりしてしまったのでしょうか……

 最終的には受け入れてもらえたので良しとしましょうか。

 

 それよりも一番は優真くんと一緒にカレーを作ったことです!

 まるで夫婦のようで…… いや、毎日食べたいと言ってもらえましたし、これはもう夫婦と言っても差し支えありませんね!

 

 これから優真くんが先に入ってるお風呂に突入しようと思っています。

 どんな反応をしてくれるか楽しみです!



――――――――――――――――――――

あとがき


 お読みいただきありがとうございました!

 

 本格的なアタックを始めた三日月さん。

 次回も全力全開で甘えてくるのでお楽しみに!


 最後に、1話もお読みいただきありがとうございます。

 正直これからどんな登場人物を出そうか、というのは全く決まっていません(不安)

 

 毎日投稿は頑張るので良ければ次回もよろしくお願いします!





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