愛の重い美少女に養われることになった話 ~幸せですが距離が近すぎます!~

みかづき

1章 出会い 

1話 説明

「おつかれさまでしたー」

「はーい! おつかれさん」


 佐藤優真(さとう ゆうま)は夜遅く、バイト終わりで自宅に向かっていた。

 (明日からの連休も朝からバイトだな……)。


 優真の家は決して裕福とは言えない家庭だった。

 それでもなんとか親に良い高校に行かせてもらい、今はバイトをして生計を手伝っている。


 そうして家に着いた時に、疑問を感じた。

 普段は母がいて明かりがついているはずなのに今日は明かりがついていない。

 さらに、物音一つ鳴っていない。


 不思議に思いながら家の鍵を開けて中に入ると、家の中には誰もいなかった。

 

 誰もいないようだが、机の上に置き手紙があった。


 [優真へ 父さんと母さんは海外へ行ってくる 今まですまなかった]


 (なんだ? なんの冗談だ……?)。


 書いてある内容の意味が分からない。


 優真の親はとても優真思いであった。

 優真が物をねだったりすることは家庭の事情を知っていたためほぼなかったが、願った時には叶えてくれた。

 

 だからこそ、親を優真は愛していた。

 なおさら意味が分からなかった。

 

 (借金があったのか……? そんな素振り少しも見せていなかったじゃないか)。

 

 いきなりすぎて何も考えられなかった。

 一つだけ分かったことは、自分は親に逃げられたのだ、という事実だけだった。


 そうして呆然としたまま10分ほど経ったころ、インターホンが鳴った。

 今は夜の22時ぐらいだ 誰が来たのか検討もつかない。


 軽く返事をしてドアを開けてみると…

 

 月明かりに照らされた美少女がいた。 

 俺はこの人を知っている。


 学校一の美少女と呼ばれている三日月咲

(みかづき さき)さんだ。

 成績優秀 運動神経抜群 容姿端麗

 [天は二物を与えず]というが、この人を見ると嘘だろうと思ってしまう。


 なぜここにいるんだと思っていると、三日月さんが口を開いた。


「こんばんは優真くん あなたの事情は知っています 私についてきてください」


「―――は?」

 この人は何を言っているんだとしか思えなかった。

 

(まずなぜこの家に……  それよりも、俺の事情を知っていると言った。

 俺ですらついさっき知ったのに、なぜこの人は知っているのか)。


 そう思っていると再び三日月さんは口を開く。


「なぜ知っているのかという表情ですね。

 少し話が長くなるので省略しますが、あなたの身辺調査をしたからです」


 そうして三日月さんは俺の個人情報だけでなく、なぜ親が逃げたのかなどもすべて話した。

 

 すごく不気味に感じた。正直逃げ出そうかとも思えるほど恐ろしく見えた。

 しかし、それを見透かした様に、また三日月さんは話を始める。


「あなたのご両親が背負っていた5000万円ほどの借金はつい先ほど私達が支払いました。

 しかし、あなた一人では今まで通りの高校生活を送ることは不可能でしょう」


 三日月さんはまたもや意味の分からないことを言い出した。


(借金を払い終えた……? 

なぜ三日月さんは他人の借金を払ったんだ?)


 何もかもが分からなくなっていた。


「クシュン」

 

 くしゃみの音がして三日月さんを見ると少し震えている。

 さすがに真冬の夜に外で立ちっぱなしでは寒いのだろう。


「まだ話をするのなら家の中に入る? 

 外で立ちっぱなしじゃ体冷えちゃうし」

「は、はいそれじゃあおじゃまします……」


 言ってから少し後悔した。

 女子なんて部屋にいれたことがない。

 簡単に誘ってよかったのだろうか……

 

 いや、それよりも話を聞くべきだろう。


「ごめんねお茶とか出せなくて」

「いえ、お気遣いありがとうございます」

「それで……なんで俺のところに来たの?」

 

 単刀直入に聞くことにした。


「あなたのご両親と交渉をしました。あなた方の借金をお支払いする代わりに、優真くんとの同棲を許してもらうことを。

 それに了承をいただいたのでお迎えに来たというわけです」


 これまたすごいことを言い出した。

 だがそのような交渉で話を動かした以上俺に拒否権はないに等しいのだろう。


「それと、なぜ俺を引き取ろうと思ったんだ?」

 もうひとつ気になったことだ。

 なぜ俺のところに来たのか。


 少しの沈黙の後三日月さんは話し出した。

「私は今まで優真くんを見てきました。

バイトでも失敗した方の責任を被ってあげたり、学校でもみんなが嫌がる仕事を率先してこなしていました。それを見て私は思ったのです。この人は私には不可欠であると」


 [皆に好かれるように生きなさい]

 俺が親から常に言われていたことだ。


 誰も見ていなくても、それが報われなくても、常に人のためになるよう過ごしてきた。

 そして、それに気づいてくれた人がいた。

 手を差しのべてくれる人がいた。


「分かったよ。俺だけじゃ何もできないし素直についていくとことにするよ」

 

 俺は素直に認めることにした。


「本当ですか!? それならば今すぐにでも行きましょう!」


 なにやら急に話を進めてきたけど、本当に良かったのだろうか……


(三日月さんはなんでこんなに乗り気なんだ?)


 すると少し顔を赤くした三日月さんに

「これで一つ夢が叶いました!」と満面の笑みで言われた。

 

 この笑顔を向けられて平常心でいられる人の方が少ないだろう。

 そうして俺もまたその笑顔から目が離せなかった。


 (俺はこれからどうなるんだ……)。

 

 同時に不安もある。

 相手のことを知らずに同棲、果たして上手くいくのだろうか。

 

 ただ最初の絶望感はすでになくなっていた。


 俺は三日月さんとの一歩目を歩み始める



――――――――――――――――――――



 part1

 私、三日月は今日一番の夢が叶いました!

 

 優真くんと同居できることになったのです!

 今まではずっと遠くでかっこいい姿を見つめていただけなのですがこれからは一緒に住んでいっぱい甘えて……

 

(えへへへへへへへへへへへへへへへ……)。

 おっと、こんな姿を見られては幻滅されてしまうかもしれません。

 

 ただ優真くんは心に傷を負ってしまったはずです。

 あんなに愛されていたご両親に急に置いていかれるなんて思ってもいなかったでしょう……

 

 その傷を少しでも早く治せるよう私も頑張っていかなければいけませんね!

 

 でもそういえばなにか大事なことを言い忘れていたような……?



――――――――――――――――――――

あとがき


 お読みいただきありがとうございました!

 

 初めての小説への挑戦、とても時間がかかりましたが、なんとか書き上げられました。

 

 文章も拙く、見苦しい場面があるかもしれまんが、良ければ次回もよろしくお願いします。







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