勇者ああああの告白

@yuusha-aaaa

第1話

あまりうまく喋れないかもしれない。

得意な方じゃないから、人に何か伝えるってことが。

でもあれから三十年近く経つし、そろそろいいのかなって心境なんです。

色んな人が色んなことを色んな形で。

つまり、あることないことたくさん出てる。知ってるでしょ。

関係者の証言とか、記事とか、噂とか、そういうの。

大体デタラメですよ。本当にびっくりするぐらい。

いい歳した大人がそんな嘘つくのかよって。


魔王を倒した時はまだ若かったし、毎日お祭り、すごい騒ぎでキャーキャー騒がれて浮かれてましたよやっぱり。

それは自分も良くなかった。

迷惑をかけたし、不義理もした。それも事実。

でも俺には俺の事情があったんだ。

言いたいことがあったんだ。

周囲の大人に止められて、当時は言えないことが山ほどあった。

イメージを守る為だとか、スポンサーの契約だとか、今後のことを考えるとナントカカントカ。


誰かが言ってた、自信満々に。今でも覚えてる。

戦わなければ負けることはない。

そりゃそうだ。

負けなければ誰も責任を取らずにすむ。

その通り。

そうしていつの間にかウヤムヤになっていった。


俺は本当は戦いたかった。

本当のことを知らない奴らの無責任な言葉がこびりついてなんとなく事実になっていくのが嫌だった。

風呂場の汚れと一緒だよ、その都度キレイにしないとダメなんだ。

裁判したってよかった。いやするべきだったと今でも思う。

勝つとか負けるとかそういう問題じゃない。

ただ真実を知って欲しかったんだ。


だから告白することにした。


今更かもしれない。

ああ。

蒸し返しても意味がない。

きっとそうだ。

やめた方がいい?

うん、君は賢い。

頭を冷やして考えてみよう。

うるせえ。

暴露本でいくら儲かるんだ?

黙れ。


俺は決めた。

全部話すよ。

操られるのは終わり。

俺のターンだ。

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