第2話

 君がこれを読んでいるということは、僕はもうこの世にはいないということだろう。

君は僕から全てを奪い去り、そして笑いながら立ち去ったのだろう。

そこに何かがあったとは誰も思わずに。


君と僕との出会い。

それはありふれた水商売あるある。

ホステスの君がお客さんたちと、僕の店を訪れた。

俗に言うアフターってやつ。

酔っ払ったお客様と、何人かの従業員。

いわゆる太客の期限をとりつつ、みんなでそこそこ騒いで。

太客のお気に入りのホステス(担当)を見定め、その娘がそこそこ売り上げになるように、飲んで食べて、そっとマウントを取りながら観察する。

連れて帰るか、置いて帰るのか見定めつつ、そこの店と自分のお店の比べっこをして、タクシー代をせしめて、若い女の子からタクシーを呼んでいく。

最後は、マネージャーと女の子二人だけ。

マネージャーは女の子を置いていくか、連れて帰るか、そろばんをはじいている。

何時だってそう。お店に不利なことは誰もしない。

お持ち帰りさせれば、次に繋がるなら、置いていくし、ならないなら連れて帰る。

まあ、あそこまで酔っ払った女の子連れて帰る物好きはいない。いるなら本当にその娘のファンだ。

今日どうなろうと、マイナスはない。

太客は俺を呼んで、会計とタクシー二台手配させて、マネージャーにタクシー代を渡し、ちゃんと送れと言っていた。

そして担当の女の子を帰り際に、そっと読んで、”お気持ち”をわからないように渡してる。

うちの娘の勝ちだな、あの客は戻ってくる。




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