第3話 男女の友情は成り立つか?②
「なるほど、つまり和彦が言いたいのは、『男は常にいやらしい目で女のことを見ていて、それを必死に抑え込んでいて大変だ』ってことかしら?」
「まぁ。簡単に言えばそう言うことだ」
俺がそう言うとニヤリと葉子は口角を少し上げた。まるで、捕食者が、格好のご馳走を見つけた時のように。
「じゃあ、それは和彦にも当てはまるということよね?和彦は、今この瞬間も常に女のことをいやらしい目線で見てる、ということでよろしいかしら?」
くっ、そう返してきたか‥。確かに俺の意見だと、男であるこの俺自身も女のことを狙っていて、それを理性で必死に押さえつけていることになる。
てか、今考えたらこのお題は、肯定派とか否定派とか関係なく、男の方が不利になるんじゃないか?どこが、平等なお題だよ、モスコミュールのバカやろう!なんとかして、反論を即急に考えないと、このままだと負けてしまう。
「黙り込んでどうしたの?反論ができないなら、もうここで終わりなの?」
「いや‥、その‥」
俺は、腹を括ることにした。
「ボソボソ、喋っててもわかりませんよ!」
「あー!そうだよ!俺は、いやらしい目線で女の子のこと見てるよ!これでいいか!?これで、ディベート続行じゃい!」
この際もうヤケクソだ。絶対にこの勝負必ず勝ってやる!
ザワザワと周りの女子どもが「気持ち悪い」や「あいつキモすぎ」など言っているのが聞こえてくる。ディベートが終わった後にどう言い訳しようか考えないとな。
「なるほど、じゃあ、この私のことも一人の女として、見てるということでいいのね?」
「ああ、そうだよ!見てるよ」そう言いながら内心、顔面ぶん殴って、その口を物理的に使えなくしてやろうかクソ女と呟いた。
「中学校の時の修学旅行の班わけで私と一緒の班になった時は?」
「嬉しくない素振りをしながら、実はお前と一緒の班になって、心の中でガッツポーズをして、喜んだよ」
「じゃあ、この前の席替えの時に、私の隣の席になった時は?」
「お前の顔なんて見飽きたけど、時々お前の横顔に見惚れていたよ」
「じゃあ、今このディベートをしている瞬間はどう思っているのよ?」
「ディベートに集中しないといけないと思っても、お前に緊張してる気持ちと交わって、もう何が何だかわからなくなってるよ!」
「ふ、頑張るじゃん」と葉子は鼻で笑った。
俺は、歯を噛み締めて、青筋を立てながら「Kill you!」と心の中で叫んた。
「これが終わったら、どうなるか覚えておけよ、葉子‥」
このままだと、葉子のペースでディベートが終わってしまう。反撃しないと負けてしまう。この状況からどう活路を見出していけばいいんだ。
華撃葉子(かげきようこ)の完全論破 黒バス @sirokuro2252
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