第2話 男女の友情は成り立つか?①


『ディベート・バトル開始』


「私は、男女の友情は成立するのは、絶対あり過激派!!男と女の友情は、必ず成立します!」

「理由を聞こうか」

「私は、男の子だろうが女の子だろうが、同じように接するようにしているからね!遊ぶ時だって昔から男の子と一緒だったわ!この前もプロボクサーを目指している弟と終電なくなるまで肩パンしてタイマン勝負してたわ。もちろん、勝者は私だったわ。弟も『うわー、やられた〜』てね」

「弟と何してんだよ。それきっと、弟さんが手を抜いてるだけだよ」

俺のツッコミを無視して、葉子は自分の話を淡々と続けた。

「あと、男女の友情が成り立たないと、この社会全体のあらゆる関係の説明ができなくなるわ」

「そお、言うと?」

「この社会は、信頼という名の曖昧なもので成り立っているわ。例えば、友人、恋人、家族、人は誰かと関係を構築していく際には必ず信頼関係を元に築いていくはず。そして、その社会集団の中にはどちらかの性別一つで成り立っている集団の方が少ない、いや私が知っている限り存在しないわ。それが示唆することは、社会の中では、男女関係なく信頼関係を築いている。そして、その信頼関係は、友情という言葉に置き換えることが可能だと私は思うわ!以上、私が男女の友情が成り立つ理由です!」

最後の言葉を言うと同時に、『完全論破』と書かれているセンスを開いて決めポーズを取った。


クっ、葉子の意見は確かに的を射ている。この、広い社会の中で男と女が協力している例など山のようにある。そして、その中には、信頼関係がなければ成り立たないものばかりだ。しかし、そのような綺麗な事象だけが社会の全てではない。


「確かに、お前の意見は一理ある。だけど社会は、そんな清廉潔癖な男性ばかりじゃない。その証拠に、この日本には多くの風俗、数多のアダルトビデオ、男性ユーザーが9割以上のおっぱいを全面的に出しているブルーアーカイブ、おとなしい清楚からイケイケのギャル、守りたくなるロリから母性溢れるママまで多様な性癖を満足させるキャラが登場するウマ娘、男の性的欲求を満たすコンテンツを社会は多く供給している。これが何を表しているかわかるか?」

「何が言いたいのよ」

「お前の言う、男女の信頼関係は、男の理性の強さによって変わってくるってことだ。結局の所、男女の関係性というのは遺伝子を残しあう性的な関係でしかなく、その本性を理性で必死に押さえつけて、ようやく男と女は信頼関係を築けてるんだよ。実際に、本当に信頼関係があるなら女性専用車両なんて存在しないだろう。以上が男女の友情が成り立たない理由だ」

我ながら、理路整然とした意見を言ったな。まぁ、周りにいる女の子の目を見ると冷たい視線を送られている。俺は、一般論を述べただけなのに、女からしたら受け入れ難い事実であるのだろうな。

葉子と世の女性には悪いが、この勝負俺が勝たせてもらう。


「友情の多くは見せかけであり、恋は愚かさにすぎない」と葵さんが持っていたモスコミュール君がボソッとつぶやいた。何かのバグであってくれ、じゃないと気持ち悪くて仕方ない。


「なるほど、つまり和彦が言いたいのは、『男は常にいやらしい目で女のことを見ていて、それを必死に抑え込んでいて大変だ』ってことかしら?」

「まぁ。簡単に言えばそう言うことだ」

「それなら‥」

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