第6話

「ごちそうさまでした先輩」


 小鳥遊が満足げに腹をさする。


 一体、その体のどこにあの量の食べ物が収まっているのだろうか。


「女の子は皆、体型維持のために努力を惜しまないのです」


 しゅっしゅっ、と虚空に向かってボクシングをしている。


 なかなか様になっていた。


「まぁ、お前が楽しめたなら、俺も付き合った甲斐があったよ」


 はしゃいでいる姿が犬みたいで飽きない。


「…先輩、そういうことを桜井先輩に言ってあげればいいと思うんですけど」


 小鳥遊が目を細めながら俺を見て、そんなことを言ってきた。


「やだよそんな恥ずかしいこと」


 仁ではあるまいし。


「あたし一回先輩のことぶん殴っても許されると思うんです」


 一体、誰に似てしまったのだろうか。

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