第14話


次の日、朝ご飯ができたと言いに来てくれた嬉歌は少し優しい顔をしていた。


「おはよう。」


僕はそう少し微笑みながら言った。

そうすると嬉歌は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに微笑み「夢叶ちゃんおはよう。」と返してくれた。


(少しずつ雰囲気も変わっていくといいな。)


と、そう思いながら1階に降りた。

そうするとぎこちないが雑談をしているみんなの姿があった。

小夜はこちらに気づくと「おはよ!」と挨拶してくれた。

僕は微笑み「おはよう。」と返す。

なんだかそれだけで幸せで、嬉しくなった。


食事が始まる。

僕はすこし緊張していた。

いつもの暗い空気に戻らないか怖かったからだ。

だがその心配は必要ないようだった。

小夜と嬉歌が明るく話してくれてそれに蒼太と蓮が混ざって話していた。

前のように戻ってくれた。

嬉しくてつい涙が出てしまった。

隣に座っていた海月がこっそりこう言った。


「良かったね。」


と。

それを見て、みんなが不思議そうにこちらを見ていた。


「大丈夫だよ。少し嬉しくなっただけだから。」


そういうと嬉歌が僕のことを優しく抱きしめてくれた。


「心配させてごめんね。」


と、そう何度も言いながら。

そして小夜もそっと抱きしめてくれた。

2人が暖かくてついまた涙がこぼれた。


(あぁ。このみんなでよかったな。)


そう思いながら泣いてしまった。

しばらくして涙が止まった。

蒼太も気を使ってくれて「今日はお前は休んどけ。」と言ってくれた。

お言葉に甘えて今日はゆっくり休むことにする。


(みんな優しいな。)


そう思い僕は部屋に入った。

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