第12話
「どうしたの?」
と、そう僕が聞くと、嬉歌は後で話があると言った。
今はご飯を食べるのが先みたいだ。
2人で黙ってリビングへ行った。
僕が最後だったらしくみんなが席に着いていた。
「遅くなってごめんね。」
僕はそう言い、空いている席に座った。
そして、また重い空気の中で食事が始まる。
この空気を変えたいとは思うがいい言葉が思いつかず結局いつも変えられずに終わる。
今日もそうだった。
誰も何も喋らず、食べ終わるとみんな部屋に帰ってしまう。
(前はもっと仲良かったはずなんだけどな……。)
そう思いながら、僕はゆっくりご飯を食べた。
食べ終わり食器を自分で洗い終え、嬉歌の元へ向かった。
嬉歌の部屋をノックすると、中から小さな声でどうぞ、と聞こえたので中に入ることにした。
「どうしたの?何かあった?」
入ってすぐに僕は嬉歌にそう聞いた。
そうしたら嬉歌はこう言った。
「夢叶ちゃんは……、夢叶ちゃんは優くんを殺せるの……?」
泣きそうな震えた声で、下を向きながらそういった。
すぐに僕はこういった。
「そんなわけない。殺せるわけないよ。」
と。
だけど、今普通にクローンを倒している。
だからこの言葉はそんなに信用はされないだろう。
嬉歌も黙って下を向いたままだった。
(何か言わなければ。)
そう僕は思った。
だけど次の言葉が思いつかない。
静かに時間だけが過ぎていく。
どちらも口を開こうとはしなかった。
どうしていいのか分からなくなっていたとき、嬉歌の部屋のドアをノックする音がした。
「はーい。」
そう言って嬉歌は部屋のドアを開けた。
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