第6話
「本体を倒すって……?優くんを倒すってこと……?」
そう嬉歌が小さな声で呟いた。
誰も答えられず、みんな下を向き目を逸らした。
そしてまた小さな声で蒼太が言った。
「まぁそういうことになるな……。」
と。
それを聞いて嬉歌は泣きながら、最後には少し声を上げてこう言った。
「無理だよ……。できない……。私にはそんなことできないよ!」
その言葉を聞いてみんなも黙ってしまった。
そして小夜がこう呟いた。
「そんなのうちだってそうだよ。だけど……。」
そこまで言って言葉を濁した。
小夜の言いたいことは何となくわかる。
僕も同じ気持ちだ。
倒すなんてそんな簡単なことでは無いが、自分たちが元の場所に帰るには優を倒さなければならない。
その後またしばらく沈黙が続いた。
そして蒼太がこういった。
「それでもやるしかないんじゃないか?俺らが帰るためにはそうするしかないと思うけど…。」
そう言いながら自分でもそんなことできないと思っているようで、だんだんと声が小さくなっていた。
それに対し、嬉歌は少し怒ったようにこう言った。
「それって優くんを殺せってこと?」
いろいろありすぎて情緒不安定になっているのだようだった。
仕方ないだろう。
それを見て僕はみんなを落ち着けようとした。
「みんな一旦落ち着かない?1人の時間もほしいし部屋行かない?どうかな?」
みんな少しくらいは同じようなことを思っていたようで、少し間はあったが同意してくれた。
なのでそれぞれ部屋へ行くことにした。
部屋はこの建物の2階にあり、部屋割りはなかったが適当に部屋に入った。
部屋に入ると僕のいつも使ってる部屋とほとんど同じだった。
少し怖かった。
だが今はそんなこと考えている暇は無かった。
今は考えなくてはいけないことがたくさんあった。
まず、本体を倒さずに帰る方法が1番だろう。
それにはどうすればいいのだろうか。
今度みんなで話し合ってみよう。
次に、僕の役職で身を守る方法はあるだろうか。
後で蓮に聞いてみよう。
あとは……。
そう考えていた時ドアを叩く音が聞こえた。
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