第3話 マイナーゲーム<黒竜と魔王>へのひとりぼっちの転生2(まさかの続き)

 そもそも短編1話のつもりだったのに第2話を書いて短編集的になってしまった上に、第1話の続きを書くとは……。計画性がないどころの話ではありませんね。ちなみにこの間に未公開・独立の4話(いずれ完成する?)があります。


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 あれから何度、生まれてはすぐ死んだのだろうか。もはや回数もわからない。


 神々の最近のトレンドは「やりこんだゲームの世界へ転生」だという。

 例外もある。世界観のないゲームはカウント外、ゲームを全然遊ばなかったらその世界のまま輪廻(生まれ変わり)だ。

 俺のような異世界転生後、ゲームするまもなく死ぬとどうなるか。実はここに落とし穴があったらしい。

 俺は確かにそのまま輪廻した。だが地球での記憶がそのまま残っていた。

 いわばリスタートを繰り返していた。


 とはいっても産まれてすぐ、運がよくても数ヶ月程度で悪魔に滅ぼされるような世界では、どんなに知識が残っていてもできることは恐ろしく少ない。

 何度目かに俺はふと「バタフライ効果」という言葉を思い出した。

 蝶の羽ばたきが突風になるとかいうのだ。

 その真偽はともかく、俺にできることはまさに蝶の羽ばたきに等しい。

 だからできるだけ多くのアクションを起こしてみた。それこそ気の狂うほど何度もいろいろと試行錯誤をした。笑うか泣くか、手を伸ばすか伸ばさないか、寝ているか起きているか。

 とにかく生まれたての赤子としては世界で最も努力したんじゃないだろうか。


 そしてついに俺は掴まり立ちできるまで生き延びるときがやってきた。

「バブゥ!」

 俺は歓声を上げた。

 バタフライ効果があったのかはわからない。ただの偶然かも知れない。だが移動できるところまで生き延びることができるならば、更に挑戦できる幅はずっと広がる。

 正直な話、このまま成長できる望みは低いだろう。

 だが更に幾たびもの輪廻の後、いつかは大人にまで成長できる可能性が出てきた。

 この世界のことはよく知っているのだ。手を出せるようになるならば何かに挑戦できるはずだ。

「バブバブ!」

 俺は片手を上げて鬨の声を上げた。

 と同時にバランスを崩して尻餅をつく。

 それを見て母親がやってきて俺を抱き上げた。

「あら、偉いわねぇ。もう掴まり立ちできるようになるなんて」

 そういって俺をあやすとベビーベッドに寝かしつけるのだった。次にベッドから出られるのはいつだろうか……。


 ある日。俺はこの世界の魔法の呪文を思い出した。というかなぜ今まで思い出さなかったのか。

 相変わらず普段はベビーベッドに寝かされていることが多いので、天井を睨みながら呪文を思い出した。

「<白き球体よ、輝く球体よ、熱くもなく、寒くもなく、いざ一時の出現を願う>」

 この世界の呪文は出現させたい事象を定義するような形になっているのだ。

 目の前に白く輝くボールが出現した。<ライト>の魔法だ。

 と、俺の意識が途絶した。

 魔力切れだ……。

 魔力を根源まで使い果たすとこの世界では瞬時に命を失う。また輪廻してしまった。

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