達磨

てると

達磨

 とても気色の悪い夢を見た。

 気づくとなにやら私は古寺の入口のようなところに立っている。そして私は、腹のパンパンに膨れ上がった子供のようななにかを後ろから、両脚を持って抱きかかえている。その子供のようななにかは全裸である。これはどうしたことだろう。そうすると、なにやら崇高な人間が古寺の磨りガラスの向こうに、徳の気を放ってるような気がした。今抱きかかえているのはダルマだ、そう思った。私はそのダルマ子供の、青い血管の浮き上がった腹の破裂を恐れつつ、同時に尻の穴からの汚物の噴出も恐れつつ、ただ抱きかかえていた。場面が変わる。次は私の実家の居間である。やはり私はそのダルマ子供を後ろから抱きかかえている。破裂と噴出を恐れるから、持つのに難儀する。そうして居間の天井を見ると、我が町の曳山ひきやま(※祭りの際の山車)が浮かび上がってきた。それと同時に、なにやら大量に、文字としては見えないが、相貌としてそうとわかる漠然たる文字が天井の至る所に書いてあることを発見した。その中でひときわ目についたのは、「ロボトミー」の文字であった。私は、このダルマ子供は未来から来た存在で、私が他の人とは違い自我が明晰で未来に思いを馳せているからこの子供は私のもとに来たんだと思った。


 そこで夢から覚めた。午前3時台、友人から反出生主義に関する誰かのtweetがLINEで送られて来たことによる通知の音での寝覚めだった。どのみち起きていたような気がするので、孤独の中での恐ろしい目覚めより、この友人による目覚めであってよかったと思う。

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達磨 てると @aichi_the_east

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