第3話お金が足りない

高校生の時メガネが壊れた。僕の目は腐れ目なので、圧縮ガラスの威力を借りなければ、世の中がハッキリと見えない。

僕はお母さんにメガネを買ってもらうようにお願いした。

すると、米俵3つ持って温泉旅館に売りに行き一万五千円作りメガネを新調した。

本来は米俵1つが八千円なのだが、足元を見られたのである。

お母さんが何度も頭を下げて、売っているもんだから、自分のモノは自分で稼ごうとコンビニでバイトを始めた。


1日四時間。夕方6時から10時まで。大学受験の半年前まで働いていた。

月に六万五千円ほど稼いでいた。しかし、毎月、二万円ほどお母さんに貸していた。弟も遊園地でバイトしていたので、二万円ほど貸していた。農家はお金がかかるのだが、僕ら兄弟のバイト代を当てにするとは、心底親を恨んだ。

一体何にお金が必要なのか?

両親働いて、尚且つ僕らの給料を当てにして。


にもかかわらず、お母さんは貯金箱から10円玉、5円玉をかき集めてカップラーメンを夜勤のご飯にする為に買っていた。

いくら、家族みんなの給料を集めてもお金は足りないらしい。

そして、お母さんは倒れてしまった。

僕が高校三年生の大学受験の最中に子宮がんを患ったのだ!


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