何もかも投げ出したいとき

僕はもう疲れてしまった。

嫌になったんだ。

町の歯医者さん、白瀬先生に相談しよう。


「先生、僕はもう何もかも投げ出してしまいたいよ」


先生は隣の患者さんの治療をそそくさと終わらせて、僕の向かいの椅子に座った。

そして心配そうに問いかける。


「何があったんだい?」


先生の目は大きく、いつも優しげだ。

僕はつぶやく。


「何もないけど、何もしたくないんだ」


先生は大きく頷いて、一枚のDVDを僕に差し出したんだ。

これ以上は書きたくないよ。


〜投げ出せないものもある〜

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る