Ⅷ
「はー。なるほどね~」
ふんふんとなぜか納得する。
(こんな話をまじめに受けてしまうのはどうかと思う)
「あ、そういえば、もうすぐ林間学校だけどグループ一緒になろうよ」
「いい。面倒くせぇ」
「即答! 一応、うちの学校は男女のグループでも大丈夫らしいよ」
「いや、ほら……女子はともかく高校生にもなった男子が女子と同じグループなんて、小学生じゃあるまいし……」
確かに林間学校はそういうグループもOKになっているが、翔也は、一度、三つ子と同じグループになったことがある。それも翔也は一人、そして、三つ子の四人グループのみ。他の男子からは恨みを買ったことを忘れていない。
「とにかく、私たちは六人のグループだから、もう一人、男子を決めておくこと!」
「もう一人はいいが、そっちの女子は誰なんだ?」
一人でなければ安心である。
(クラスの連中は納得しないだろうな。一人を除いては……)
翔也は、このことを面白そうに笑っている一人の男の顔を浮かべていた。
「うーん。分かんない。でも、一応、決めてはいるかな?」
(あ、竹下かもな……。あいつなら、なんとなくわかる)
翔也は、うんうん、と頷いた。
「二葉の友達よ。ほら、テニス部の唯ちゃん」
三咲が下からのぞき込むような視線を向けてくる。その瞳を見ていると、心臓の鼓動が早くなる。
「あ、ああ。あいつね。あいつ……。いいんじゃないか?」
「ちょ、ちょっと! 目がどよめいているよ!」
「どよめいてねぇよ! いや、何でもない!」
「えー、なに? 何があったの⁉」
三咲が頭を抱えて叫んだ。
(はぁ……、気を抜くとは……、危ない、危ない……)
翔也は、三咲の事を意識していことを悟られないように我慢する。
(我慢だ。少しは我慢しろ、俺! ポーカーフェイスを忘れるな。どこかの漫画でも言っていただろ?)
「で、それで六人、林間学校で何すんの?」
翔也が問うと、三咲はいくらかはしゃいだ様子で答える。
「うーん、まだ、分かんない⁉」
有馬家の三姉妹と一匹狼 佐々木雄太 @yuta4
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