Ⅵ
そして、一緒にいたのは、見覚えのある顔。クラスメイトの女子たちと後は翔也の知らない女子である。三咲の西高でのカーストなら、トップを取れるであろう。それに女子は女子で、こういったグループは、翔也は少し苦手ではある。三咲は苦手というわけではないが、他の女子の目が、意外と痛い。
それにチャラついた服は、どう見ても男の目を引き寄せる。
(うわぁ、眩しい。見たくねぇ……)
「ええと、誰だっけ?」
(ま、そうなるだろうな……)
こう言われると、翔也の事など一切知らないみたいに感じるが、実際そうである。彼ら彼女らはルックスが高いものが上に立ち、ルックスが低いものが下にいる。では、低いものは、低いものなりに対抗手段がないというわけではなく。田舎の方では、勉強しかないのである。人間、興味がないものには本当に興味がないという事である。
「三咲。私、買いたい本買ってくるから!」
そう言うと、三咲の返事を待たずに翔也のクラスメイト・少女Aはその場から離れて、本が売ってある書店の方へと行ってしまう。興味がないのだから、翔也とかかわろうとしないのだろう。
こうして、関わりのないクラスメイトともめごとなどしなくて翔也は楽でいいと思った。自分の立場やこういった場所で、争いごとを回避するのは昔から得意としている。違う世界に生きている人たちを同じ世界で一緒に生きる上では、誰しもが一度は体験することであり、それから逃げられないのは神様からの試練なのだろうか。
「今日は、ここで遊ぼうってことになっていてね。翔君は何をしていたの?」
「ただの暇つぶしだ……」
翔也は、本を入れる袋を見せつけて、読んでいる本も同じく見せる。三咲とは普段話してはいるが、休日にあうのは久しぶりである。そのおかげか、私服姿を拝むのも久々である。
「そーなんだ。今日は、私、一緒に遊べないんだよね」
「そうかい」
「む! なんだか、私と遊べないだけでうれしそう?」
(んー、そうきたか)
別に夏海と遊べなくてうれしそうというわけではない。今は、そんな気分になれないだけである。
「そんなわけないだろ。俺は、ただ、こうした休日を過ごしたいだけだ」
苦肉の策で思い浮かんだ言葉を口にする。
(ま、間違ってはいないが……)
翔也は、三咲と一緒に居る女子と、あまり関わりたくないだけである。
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