第3章 互いの仲の良さ
Ⅰ
週の終わり、日曜日——
翔也は朝八時半頃に目を覚まし、ベットから起き上がった。頭の中がぼー、としており、まだ、寝ぼけている。
「えーと、もう朝か……」
寝ぐせはひどく、床には散らばった漫画本やゲーム機のカセットが散らばっている。
時計を見て、スマホを確認する。画面には、メッセージの通知が何件も来ており、画面ロックの解除をし、すぐにLINEのメッセージを見る。
すると、一花からのメッセージだった。
『おはようございます』
『今日、朝の九時半からでもよろしいでしょうか?』
『返信お待ちしています』
と、朝の七時十分頃に連絡があった。
(あー、そうだった……。と、なると後、一時間後か……)
翔也は服を脱ぎ、新しい服に着替える。
散乱している床を綺麗に片づけ、急いで階段を降り、リビングに向かう。
リビングには三咲の姿はなく、テーブルには冷めたフレンチトーストが二枚、皿の上に載せられて、ラップに包まれて置いてあった。その横には、置き手紙らしきメモがある。
『お兄ちゃんへ。私、もう一度、二度寝するから起こさないように。朝ご飯は、これ二枚だから飲み物は自分で勝手に飲んでください。以上!』
と、書いてあり、最後にはイラストらしき絵が描かれていた。
「もう、起きて、寝たのかよ……」
翔也は、キッチン台でマグカップを取り出し、お湯を沸かし、インスタントコーヒーを入れる。砂糖を少々入れた後は、牛乳を入れて完成である。
フォークとナイフを取り出し、マグカップを右手に持って、席に座る。
ラップを取り除き、食べようとする。
「あ、ジャム忘れた」
と、席を外れ、冷蔵庫からイチゴジャムを取り出し、再び、席に座る。
ジャムの蓋を開け、ナイフでジャムを救い上げる。ジャムをのばし、フォークとナイフを使い分け、食べ始める。
日曜朝のこの時間帯は、子供番組しかやっていない。
暇つぶしに、テレビを点け、見ながら食べる。
卵と食パンの焼き加減が丁度良く、切るときにふんわりとした感触が伝わる。
「冷めててもうまいな……」
翔也は、次から次へとフレンチトーストを口に入れ、さっさと食べ終える。
テレビを消し、ジャムの蓋を閉め、食べ終えた食器を重ねて流し台に置き、水につけておく。そして、ジャムを冷蔵庫に入れた後、洗面所で歯磨きをして自分の部屋に戻る。
「さて、時間もないし、準備でもするか……」
翔也は手提げバックの中に返された春課題をいれ、ノート、文房具を入れる。
時間を確認し、九時十分になっている。
「さて、行くか……」
行く前にとりあえず、連絡は入れておく。
『今から行ってもいいか?』
すると、すぐに既読がつき、返信が来る。
『はい』
「よし!」
それを見て、翔也は部屋を出て、玄関に向かい、靴を履く。
と、部屋から翔也の母親・摩耶が自分の部屋から出てきた。
「あら、あんた。どこへ行くつもり?」
「ああ? 勉強だよ、勉強」
「部屋でせずに?」
「そうだよ。悪いか?」
「悪くはないけど……。どこでするのよ」
「一花の部屋」
「へ?」
「だーかーらー。一花に勉強教えてもらうんだよ。別にいいだろ? 明日、春課題のテストなんだから……」
「あ、そう……」
靴を履き終えると、鍵を持って、扉を開ける。
「あ、夕方には帰って来るから」
と、家を出た。
(珍しいこともあるのね……。一応、由紀に連絡でも入れておこうっと……)
摩耶は、トイレを終えた後、自分の部屋に戻った。
一花の部屋——
一花はドキドキしながら勉強会の準備をしていた。
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