灰色の雲と共にあるのは

プロローグ

　もう、何度夢に見たことか。

　戻らない過去に苦しんで、後悔して、涙が枯れるぐらい泣いて、なのに強がっている振りをして。

　知らない、と見なかった事にしたのが、いつの間にか傷ついて『後悔』という深いナニカへと変わっていった。

　助けてなんて言わない。そもそも、言う資格すら私には持ち合わせてなどいないのだから。

　後悔という罪に囚われて、救われようとすることすらおこがましい。

　あの時から、私は感情というものに鈍くなったのかもしれない。

　楽しいと笑った時も。

　悲しくて泣いていたはずの涙がすぐ止まるのも。

　怒っているはずなのに、すぐどうでもよくなる時も。

　その全てが、後で振り返ると「本当に？」と、首を傾げてしまう。

　けど、それでいい。それこそが、私があの日を後悔し、罰にとわれている証拠に繋がるのだから。

　踏み込むことは許さない。

　同情するやつは敵だ。

　この罪は、私だけのものなのだから。

　終わらない悪夢を見るのはもう慣れた。

　自分が何よりも嫌いな『生』を受けるのは、何よりの罰であり、約束となる。

　これは、私と――の物語。