第3話 違和感の正体
「つまり……、愛の女神アウラがフラれたショックで下界に降りてきて行方不明になり、恐らくこの街のどこかに居て愛の女神が愛を拒否してるからこの街の愛が消えた……ってことか?」
「うん、だいたいそんなとこね」
支離滅裂なこの天使見習いの話を要約するとそんな感じらしい。
(迷惑極まりないな……)
「ってことで、探すの手伝ってね!」
「ぇ? イヤだけど」
「なんでよっ!? 今の話聞いたら『手伝うよ』って流れじゃない!?」
「何で俺がそんな面倒事に巻き込まれんといかんのだ……」
「ぇ? だってワタシのこと見えるし、話せるじゃない? つまり、アナタはアウラ様の影響をほとんど受けてないってこと。他の人はワタシのこと見えてないもん」
「俺が影響を受けてない?」
「そうよ。今日一日あちこち行ったけど、ワタシが見えたのはアナタだけ」
「じゃあ、あそこの商人夫婦は? いつもと同じようにニコニコ話してるじゃないか。あの人たちは影響を受けてないんじゃないの?」
「あぁ、あれね……。あれは仮面夫婦よっ!」
(聞くんじゃなかった……)
商人の息子を少し哀れに思いながらも、表面上仲良く見えるなら良いか……。と思い直し、自分の両親のことを考え。
(目の前でイチャイチャされるのは堪ったものじゃないけど、今日みたいなのもちょっとイヤか……)
「……ハァ、わかったよ。手伝えばいいんだろ」
「やったぁ! それじゃあ、よろしくね! そういえば、アナタの名前は何て言うの? ワタシは天使見習いのディアよ!」
「……レイモンド」
「じゃあ、レイね!」
「ちょ……、まぁいいか……」
ちょこまか飛び回るディアに嘆息しつつ、レイモンドは協力することにした。
「で、どうやって探すんだ?」
「それがわかんないから協力してもらうんじゃない!」
胸を張って言うディアに、早速協力を申し出たことを後悔するレイモンドだった。
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