第14話

ギッシュのおっさんが怒り散らしている姿を見てストレスを発散させた俺は、奴隷達がいる洞窟に戻って来た。

入り口付近に掛けた魔法の効果もあってか、襲撃などをされた形跡もなく無事の様だ。

周囲の気配を探っても脅威となりそうな魔物などもいなかった。


洞窟内に入って奴隷達の様子を見に行くと、皆んな俺の姿を見てホッとしているのだろう、少しばかりの笑顔もチラホラと見える。

皆に今日はもう夜も遅いし寝るようにと伝えて、その日は俺もすぐに自分様の部屋を洞窟内に作り寝る事にした。


次の日の朝、奴隷達を集め今後どうしたいか話を聞いてみた。

故郷のある者は送ってやっても良いし、帰る場所の無い者は「出来損ないの街」で暮せる様に領主にも顔が効くモーガンに頼んでやろうと思っていたのだが、全員から俺に付いて行くと言われてしまった。



「人族に穢された私達は故郷に帰っても、腫れ物の様に扱われるか、死んで逝った魔族の名誉を汚したと殺されるだけ」


「別の場所に行っても同じ事になるかも知れないのなら、救ってくれたアナタ様に皆んなで尽くしたい!」


そう涙ながらに言われては俺も無碍にはしたくない。

しかし、手放しに「ウヒョーッ 美女ハーレムだ! バンザーイ♪」とは流石になれない。


俺は女達に連れて行く代わりに、1つの課題を提示した。


「どうしても付いて来たいのなら強くなれ」


自衛もできない樣では俺の足手纏いとなるし、50人もの大所帯となれば1人1人を守って気を配るのは手間になるからだ。

そんな事情を説明しても女達の決意は変わらず着いて行くと言うので、1人ずつ現状では何ができるのか、戦闘から日々の生活に必要な能力までの得意を聞き取りながら今後のスケジュールを組み直す。

途中で食事などを取りつつ全員と話したらすっかり夜になってしまったので、明日は朝から皆んなで行動する事を伝えて就寝した。



次の日の朝、皆んな連れて山に移動した、もちろん転移魔法で。

この世界に来て初めて降り立った山へ。


「さぁ修行パートだ!」と脳内で叫んで。




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