第1話 彼女のこと

大友のぞみ。僕の幼馴染だ。

彼女は学校ではいわゆる陰キャである。友達が多い訳では無く、話しかけられたらにこやかに対応する程度で、自ら話しかけたりはしない。

その癖して僕と二人になるや否やあれをやれこれをやれとお姫様気分になって命令してくる。鬱陶しくも、僕にだけ心を許してくれているのだなと嬉しくもあった。僕の前でだけ見せてくれる笑顔が大好きだった。いつも明るくて、彼女と会うだけで僕の悩みなんてどうでもよく感じられた。

中学時代は書道部に入っていた。元々彼女は字がとても上手い。書道部でも先生に目をかけられていたようだ。

高校になってからは帰宅部だった。その代わり、本屋でバイトをしていた。たまに様子を見に行くと、しっかり働いていた。とびきりの変顔を作って彼女にだけ見えるようにしたら、思わず笑ってしまっていた。接客中だったので、お客さんのおばあさんはすごく不思議そうにしていた。後でたんこぶができたのはまたの機会にお話ししよう。

これは誰にも言ったことがなかったが、彼女はとても顔が整っている。と僕は思う。さらに客観的、数値的にみて低身長巨乳だ。

彼女はとても目が悪い。普段はコンタクトだ。たまにコンビニで会う時に見る丸メガネ姿、あれはたまらなかった。

とまあ僕の性癖暴露大会はここまでとしておこう。

こんな彼女でも、悩みがあるなんて、あの時の僕は知らなかった。

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