第0話 出会い
僕と彼女は、生まれる前からもう既に出会っていた。
というのも、僕の母と彼女の母は高校時代からの親友で、お互いに家も近かった。だから二人は妊婦の時から毎日のようにお互いの家を行き来して旦那の愚痴を言い合っていた。つまり、僕たちはお腹の中にいる時にもう会っていたのだ。愚痴を聞かされながら。
3月8日
彼女が生まれた。
3月9日
僕が生まれた。
なんだかこの時点で負けているような気がして少し悔しい。予定日は同じだったらしいのだが、なぜか彼女の方が早く生まれた。
幼少期はお互いに社交的ではなかったので、互いに互いだけが友人だった。社交的ではなかったのは母親たちの愚痴が原因ではないかと今でも思う。
小学校、中学校と進んでいくうち、お互いに別な友人も僅かながらに出来た。それでも二人で遊ぶ仲だった。なので、必ず「お前ら付き合ってんじゃないのか?」と聞かれる。その時は毎回声を揃えて「こいつだけは無い!」と言い張っていた。
高校生になると、学校が離れた。僕は地元の公立進学校に。彼女は地元の偏差値50程度の公立高校へ進学した。僕も彼女も小中と非社交的生活を極めたが、熱中したものは違った。僕は勉強。彼女は読書。お互いに違った趣味を持っていたが、尊敬し合っていた。それでも僕には勉強では負けないというプライドがあった。しかし、彼女の国語の偏差値にだけは敵わなかった。
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