第9話 モンスターパレードに立ち向かおう!

 3階まで降りると、晴輝は物陰でスキルボードを取り出し確認した。


 スキルポイント:2


「おー! 3階に来てポイントが増えたっていうことは、最高到達階層は共通なのか……」


 スキルポイントが増加する条件が判明したのは喜ばしいことだ。

 だが、各ダンジョンを巡ってスキルポイント稼ぎが出来ないのは残念だ。


 いま最も深いダンジョンは新宿駅で50階。

 なので現状最大で50ポイントは手に入る計算になる。


 スキルツリーにおける身体能力系スキルは、最大値が30ポイント。

 対して、得られるポイントが最大で50というのはかなり少ない。


 やはり在る程度は自力でスキルを上げねばならないようだ。


 階層とは別にポイント取得条件があればいいんだけど……。


「まあ条件は判ったし、あとは稼げるだけ稼いで帰るかな」


 レベリングは家の車庫にあるダンジョンで行える。


 だが今日は武具を揃えたことで収支がマイナスだ。


「せめて革の鎧分は稼がないと!」


 晴輝は気合いを入れて狩りを開始した。


『ちかほ』の3階に現われるのは大きなダンゴムシだった。


 家のダンジョンでゲジゲジを見ていたから、自分の腰ほどもあるダンゴムシを見ても晴輝はあまり驚かなかった。


 ゲジゲジのような魔物がいるのだ。

 大きなダンゴムシが居ても不思議ではない。


「んー。面白くない、かな?」


 短剣を片手に、現われるダンゴムシを次々と屠っていく。


 ゲジゲジよりも遅い。力が弱い。柔らかい。

 だから、つまらなさを感じてしまう。


 そう感じるのは、新しい短剣の性能が良いからか。

 単にダンゴムシよりゲジゲジの方が強かったからか……。


 ゲジゲジとは違い明確な殺意を感じるが、それらが晴輝に届く未来はない。


 まるで毒草のある無菌室。

 死に手を出さなねば、絶対に死ぬことはない。

 だから、つまらない。


 せめて長い足が大量に横付けされていれば、難易度も変ったのだろうけれど。

 そんな生物はゲジゲジで十分だ。


「……いかんいかん」


 頭からゲジゲジ成分を振り払い、晴輝は先へ先へと進んでいく。


 もしかすると『ちかほ』より、家の車庫に出来たダンジョンの方が難易度が高いのかもしれないな。

 そんなことを考えながら、晴輝はダンゴムシを次々と屠っていく。


 3階の魔物にあまり手応えが感じられなかったため、晴輝は4階に移動した。


 4階に出現する魔物はキルラビット。

 大きく発達した足で攻撃してくる殺人ウサギだ。


 速度はゲジゲジほどか。

 ダンゴムシよりは柔らかい。

 初心者でも、攻撃が当たれば倒せそうだ。


 だが、かなり素早い。


 さらに的を絞らせないように小刻みに移動するため骨が折れる。


 晴輝はフェイントや揺さぶりを用いる魔物と戦うのは初めてだった。


 初見のため、うまく対応出来ない。

 初見ですぐに対応出来るほどの、経験もない。


「でも――面白い!」


 やっとだ。

 やっとゲジゲジを越える魔物に出会えた。


 レベルはゲジゲジと互角かもしれない。

 だが危険度が違う。


 ゲジゲジは防具を壊すだけ。

 キルラビットは人を殺す。


 4階に来てようやく、晴輝は冒険家になって初めて命を賭けた。


 ゾクゾク、と背筋が震える。

 体が、熱くなる。


「……ははっ」


 息を吐く。


 晴輝はいま、笑っていた。


 もう安全地帯からは抜け出した。

 今は一人。

 誰も守ってなどくれない。


 だがそうした状況で、何故か晴輝は高ぶっていく。

 アドレナリンに侵された体が滾る。


 さあ。

 冒険をしよう。

 冒険を、楽しもう!


「――っせぃ!」


 軽く振りかぶり短剣を振るう。

 バレバレだったか。

 晴輝の攻撃はあっさりかわされた。


 そこに、カウンター。

 キルラビットが、晴輝の攻撃に合せた。


 おお合せるか!


 予想外。

 だからこそ、笑ってしまう。


 だが笑みの完成は赦されない。

 大きな足による蹴りが晴輝の腹部に綺麗に決まった。


「かはっ!」


 見た目とは裏腹な凶悪な威力に、晴輝の体が後方に吹き飛んだ。


 体勢が崩れぬよう、下肢に力を入れる。

 ザザ、と足が滑り、ようやく体が停止。


「見えた」


 はっきりと、見た。

 晴輝の瞳が確実に捕らえた。


 にやり晴輝は笑う。


 キルラビットは追撃とばかりに晴輝に突っ込んできた。

 そのタイミングを逃さず、今度はこちらから合せた。


 やや強引だったが、晴輝のカウンターは綺麗にキルラビットの胴体を切断した。


 キルラビットが確実に動かないことを確認すると、晴輝はストンと尻餅をついた。


 キルラビットの蹴りの衝撃がまだ痺れとして残っている。

 油断すると胃がひっくり返りそうだ。

 ただ、内臓が破裂するほどではなかった。


 元の鎧を装備していたら、あれが致命的な一撃になっていたかもしれない。

 防御力の高い新しい鎧だったからこそ、打撲程度で済んだのだ。


 購入したときは「なんで買っちゃったかなぁ。もう自分のばかばか!」と己を責めていたものだが、いまではそのありがたみが身に染みる。


 内臓が捻れそうな攻撃を受けたというのに、鎧には傷一つない。


 店員の話によると、ゲジゲジの甲殻になめした革を貼り付けたものらしい。

 その程度の加工で、この防御力。


 いいね。

 実にいい。


 熱くなった息をゆっくり吐き出して、晴輝はキルラビットの死体を見下ろす。


 キルラビットが攻撃をしてきたとき、晴輝は見た。


 タイミングの取り方。

 力の入れ方。


 筋肉の初動、躍動、鼓動。

 そして呼吸。


 刹那のうちに、晴輝は観察した。


 細かく観察すれば、見えてくる。

 どう動けば、キルラビットと同じ動きが出来るのかが。


 観察し、分析し、理解し、分解し、再構築し、実践することで、晴輝はキルラビットのカウンターの真似をした。


 それは印刷会社の製版作業において、見本と製版を見比べ、微細な違いを見つけ出す訓練により培った技術である。


 ようは凄く難しい間違い探し。


 晴輝の観察精度は版ズレが0,05ミリ。

 色違いは四原色(CMYK)各1%まで瞬時に見分けられる。


 とはいえ観察が出来ても、それを実践する能力はまだまだだった。


 修行が足りないな。


 身体能力は上がったが、運動神経が付いてこない。

 この辺りは意識的に改善していくことにしよう。


 倒したキルラビットは胴体が半分になって、そこからイロイロと飛び出している。

 しかし晴輝は眉をひそめることもなくその遺体に手を伸ばす。


 革はなめしても大した素材にはならない。

 高値が付くのは肉と、雄にのみ存在する一角だ。


 肉は鶏肉のような味わいで、初心者を抜け出した冒険家にとっての一般食となる。

 キロ単価マックス500円。一昔前の海外産鶏もも肉より少し高いくらいだ。


 一角は煎じると漢方になる。

 これを用いた軟膏は特に人気がある。買取店に大量に持ち込んでも値崩れしないほど需要が高い。

 おかげで取引価格は一本2千円前後で安定している。


 今回戦ったキルラビットは、残念ながら雌だったため角がなかった。


 死体を検分し、晴輝は死体を通路の隅に移動させた。

 そのうちダンジョンにうまいこと吸収されるだろう。


 今回は収穫ゼロ。

 倒し方が悪かったせいで、肉までダメになってしまった。


 魔物の動きに慣れればもっと上手に倒せるだろう。

 キルラビットを上手に倒せるまで、今日はひたすらここで特訓だ!




 4階を彷徨いながら、晴輝はキルラビットを次々と屠っていく。

 ゲジゲジ同様に、はじめの頃はなかなか綺麗に倒せなかった。


 だが10羽、20羽と倒すうちに、だんだん相手の動きに慣れてきた。


 はじめは胴体を真っ二つにしてしまったものだが、30羽を相手にしたくらいでようやく、血抜きを優先する余裕が生まれた。


 キルラビットと戦いながら、晴輝は考えを巡らせる。


 現在、増えた3つのスキルポイントはまだ使用していない。

 一体どのスキルに振るべきかを、まだ思い悩んでいるのだ。


 やはり投擲と器用さを上げて、遠くから魔物を仕留めるスナイパースタイルが良いだろうか。


 後方からの狙撃は、短剣で戦うよりも安全だ。

 地面に落ちている小石を投擲すれば、メイン武具の損耗も防げる。


 しかし、しかしだ!

 それでは折角10万円近く出して購入した短剣がただの肥やしになってしまう!!


 短剣は、出来れば使いたい。

 だからといってアサシンスタイルは除外だ。


 ただでさえ影が薄い晴輝が隠密など取ろうものなら一体どうなるか……。


 きっと誰にも気づかれず、話しかけても常に独り言みたいになってしまうだろう。


 回りに多くの人がいても独りぼっち。

 それはさすがに……悲しすぎる。


 だからといって片手剣スキルの取得は、なるべくならしたくない。

 竹中老人のように、短剣で狩りをしていればいずれ上がる可能性がある。


 階層を降りて得られるポイントは有限なのだ。

 いずれ上がるスキルを安易に上げてしまうのはもったいない。


 それよりも、


「……どうにかして存在感が増すスキル振りはないだろうか?」


 晴輝にとってはなにより、存在感の方が大事。

 だが果たして、そんなスキル振りはあるのだろうか?


 身体能力ベースで成長させるか、あるいは思い切って投擲ベースで成長させるか。

 さて、どうしよう……。



 小学生なら余裕で入りそうな鞄がキルラビットの肉と角でパンパンになった頃、晴輝は4階の異変に気がついた。


「……音? でもこんな音、初めて聞いたけど」


 音が聞こえるダンジョンはあるが、『ちかほ』で音が鳴るなんて話は聞いたことがない。

 ということは、ダンジョンではなく人か魔物の音だろう。


 一体なにが起こっているんだ?

 ……もしかして、ランカーが派手に雑魚狩りでもしているんだろうか?


 息を潜めながら、晴輝はゆっくりと音のある方に進んでいく。


 しばらく行くと、通路の向こう側から3人の男達の姿が現われた。


 彼らはおそらくチームだろう。

 盾使い、大剣使い、弓使いと、実にバランスが良い。


 そして強者特有の凄みを感じる。

 きっと彼らは晴輝よりも強い。


 彼らの足運びを目に焼き付けていると、


「あーあ。こんなことなら3階でさっさとレイプしときゃよかった」


 男達の口からそんな言葉が聞こえてきた。


 レイ――!?

 晴輝はついぎょっとしてしまう。


「そんなことすれば一発でバレるだろ」

「バレやしねえよ。結局ここでおさらばだったんだからよぉ」

「お前は最低だな」

「盾でアイツを吹き飛ばしたお前がなにを言わんや」

「違いない」


 動揺して気配が大きく乱れたというのに、彼らは晴輝に目もくれない。

 おそらく、気づいてさえいないだろう。眼球運動でそれがわかってしまう。


 ……別にいいけどね!


 無反応はいつものことだ。

 だがいまは、相手が無反応でも晴輝はさして気落ちしなかった。


 不穏な言葉を口にしている輩とは、関わり合いたくはない。

 関わったって、面白くない未来が目に浮かぶ。


「あの子、初心者だろ? 18歳なのに、可哀想だな」

「だから盾でぶん殴ったお前が言うか?」

「見捨てたお前が言うな」

「俺らが助かるために、人柱になってもらっただけだ」

「っへ。餌の間違いじゃね?」


 ゲラゲラ笑う男達の言葉に、晴輝の動きがピタリと停止した。


 殴った、18歳、見捨てた、人柱、餌。


 耳に入った言葉で、残酷な光景が脳裏に浮かんだ。

 冷たくなった血が騒ぐ。


 先ほどよりも慎重に、けれど迅速に足が動いた。

 男達が逃げてきた方向に晴輝は進む。


 すると奥の方に、大量の赤い目――キルラビットの群れが目に入った。


(モンパレか!)


 その光景がなんであるか、晴輝はすぐに思い当たる。


 見かけたら全力で逃げる。

 それが『なろう』で定着している、モンパレの対処法である。


 晴輝はWIKIやブログなどで、その恐ろしさは嫌というほど知っている。


 果敢にも立ち向かったパーティもいた。

 だが結果は半壊、逃走、全滅、消滅。


 自分がそのような目に遭ったら一目散に逃げようと心に刻み込んでいた。


 数えることすら馬鹿らしいほどおびただしい量の魔物が通路を埋め尽くしているのだ。

 冒険家なら十人中、十人が今すぐ逃げろと口にする。


 故に晴輝は、逃げようとした。

 だが――晴輝は逃げなかった。


 モンパレのすぐ目と鼻の先に、座り込んだ少女の姿が目に入ったから。


 少女の姿と先ほどの男達の会話が、バチバチと音を立ててリンクした。


 途端に、晴輝の頭がカッと熱くなった。


 そこからの行動は早かった。


 晴輝は迅速にスキルボードを取り出した。

 これまで延々と悩んでいたのが嘘のように、手早くボードをタップする。


 空星晴輝(27) 性別:男

 スキルポイント:3→0

 評価:剣人


-生命力

 スタミナ0

 自然回復0


-筋力

 筋力0→1


-敏捷力

 瞬発力0→1

 器用さ0→1


-技術

 武具習熟

  片手剣0

  投擲0

  軽装0

 隠密0


-直感

 探知0


-特殊

 成長加速3


 ポイントを振り終えると、鞄から不思議な仮面を取り出した。


 仮面がどのような魔導具なのかは判らない。

 だがここからは、どうしたって修羅場。


 1対多の戦闘を行う上で、僅かでも防御力は上げおきたい。


 呪いのことなど考えず仮面を顔に取り付ける。


 仮面を顔に付ける。

 仮面は晴輝の皮膚に反応して肌に張り付いた。


 仮面の安定を確認。

 即座に、晴輝は突っ込んだ。


 想像以上の加速。

 視界の端がかすむ。

 コンマ1秒が、伸びていく。


 短剣を構えた体勢で、晴輝は無理矢理前列のキルラビットに突っ込んだ。


 それとほぼ同時に、少女めがけてキルラビットが飛んだ。


 瞬間。

 衝突。


 大型ダンプカーがアクセルべた踏みで突っ込んだような衝撃が晴輝の全身を襲った。


 だが、キルラビットの攻撃に晴輝の勢いが負けることはなかった。


 少女とキルラビットの群れのほぼ中間で、互いの勢いがぶつかり停止。


 宙に飛んだキルラビットが、

 破裂。

 粉砕。


 元キルラビットの肉片がびちゃびちゃと群れの頭上に降り注ぐ。

 対して、それだけの衝撃を受けたというのに、晴輝の体にはほとんどダメージは入らなかった。


 数匹のキルラビットを倒したことで、全身が熱い。


 頭がぼぅっとして、締め付けられるみたいに鈍く痛む。


 ――レベルアップ酔いだ。


「うおぉぉぉぉ!」


 だが酔ってる暇は一切無い。

 晴輝はレベルアップ酔いを気合いで退ける。


 体は動く。

 ダメージは軽微。

 攻撃は通じる。


 ――――行ける!


 晴輝の乱入で、後ろに控えたキルラビット達が一気に殺気立つ。

 ターゲットが動いた。


 一斉に赤い瞳を向けられた晴輝が、背筋を震わせる。


 ターゲットが晴輝に固定された。

 同時に、晴輝は動いた。


 ドロップキックを放つものを短剣で切り裂き、背後から襲いかかるものを裏拳で吹き飛ばす。


 仮面が顔を被っているというのに、視界はなにも付けていないときと同じ。

 仮面の裏側が、透明になったみたいに開けている。


 呼吸もクリア。

 籠もらない。


 おそらく、そういう性能の仮面なのだろう。

 装着感が皆無。

 付けていることを忘れそうだ。


 キルラビットの猛攻に晒されながら、晴輝は確信する。

 手を誤らなければ生き残れると。


 可能性は万分の1かもしれない。

 億分の1かもしれない。


 だが生き残る道筋が、遠い彼方で、はっきりと光っている。

 晴輝はそこに、たどり着けば良い。


 だから観察しろ。

 相手の全てを吸収するんだ。

 ひとつも予兆を見逃すな。

 攻撃を赦すな。


 相手の暴力を、上回れ!!


 アドレナリンが体を加熱する。

 鼓動が激しく胸を叩く。

 体が軽い!


 晴輝は1対多という状況に臆するどころか、笑みさえ浮かべていた。

 まるで水を得た魚のように。


「さあ、冒険をしよう!」


 これは冒険だ。

 命を賭けた、挑戦だ。


 得られるものは力と、少女の命。

 そして自分だけの名誉のみ。


 失われるのは、今後の人生すべて。


 まったく釣り合いが取れない。

 だが、それが冒険というものだ。


 冒険は、

 未知を求め高揚出来る、愚者の遊び。

 命が失われても納得出来る、賢者の修練。


 さあお前らのすべてを、根こそぎ奪ってやろうじゃないか!

 だから、お前らのすべてを俺にさらけ出せ。


 さらけ出して、俺の糧になれ!!


 足下から襲いかかるものは蹴り上げる。

 あるいはステップで躱す。


 自分の動きが全然違う。

 力強さが違う。

 思い通りに体が動ける。

 想像以上に強化されている。


 成長加速では体感出来なかったスキルボードの凄さを、ようやっと晴輝は理解した。


 キルラビットを拳で吹き飛ばせる。

 攻撃を軽々回避出来る。

 短剣で胴体を紙くずのように切り裂ける。


 1ポイントだ。

 たった1ポイントで、晴輝の能力は別人のように飛躍してしまった。


 変化が過ぎて、気持ち悪い。恐ろしい。

 きっと平時であれば、晴輝はそう顔をしかめたに違いない。


 だがいまは、目の前のキルラビットを倒すことだけにのみ意識が向けられていた。

 ――いや、冒険を前にして、晴輝は笑っていた。


 キルラビットが晴輝を回り込もうとするが、それを晴輝は赦さない。

 もし後ろに通してしまえば、背後にいる少女が攻撃されてしまうかもしれないのだ。


 彼女がどれほどの実力かはわからない。

 いまだに動く様子がないことから、そう強い冒険家ではないのだろうと予想する。


 ……いや、最悪を想定して晴輝は動いていた。


 背後に回られぬよう、右へ左へ晴輝は大きく体を動かす。


 まるでゲームだ。

 敵の弾幕を防ぎきるとクリア。

 横を抜けられたらゲームオーバー。


 そんなイメージが頭に浮かんだからか、晴輝の動きが益々鋭くなっていく。


 絶対にここを通してやるもんか!


 気づけば晴輝は、喉を鳴らしていた。

 くつくつくつくつ、笑ってた。

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