第3話
「そういえばお前名前なんていうんだ?」
「名前なんかない。気づいたら一人だったから。」
「じゃお前の名前はすみれだ」
俺は漢字とひらがなを書いた
「ふーん、でもなんでこの字なの」
「いや、思いつきだ」
「えーー!ひっどーい!」
彼女は笑いながら言った
実は思いつきではなく、ちゃんとした理由はある。だが言うのが恥ずかしい。
すみれの花は小さな幸せという花言葉らしい。俺が笑わせた人、この世界で初めてだからこの名前はぴったりだと思う。
しかも、目の色も紫ときた。これしかないだろう。
「ネェねぇねぇ!聞いてる?私に名前をつけたのは嬉しいけどあなたの名前は?」
俺の顔面にズイッと近づくから思わずのけぞってしまった。確かにまだ名乗っていなかった。
「おれは葉柳だ、」
「葉柳?ふーん珍しいね」
「逆にどんな名前が普通なんだ?」
ここは地球と似てるので、すみれもごく一般的だろう。
「ここに来る人は少ないからわからないけれどメアリーとかじゃないかな」
「ええっ!まじか」
ここは地球は地球でもアメリカとからへんの名前が多いらしい。
(そんなことも知らずに日本でのありきたりな名前をつけちまった、)
「早く行こ!」
すみれにグイグイと手を引っ張られながら俺は歩いていた。
「親子みたいだな、」
俺はボソッとつぶやいた。
(待てよ。)
「そういえば都はどこだ?」
「うーん…一回しか行ったことないからなぁ馬車とかで行く?」
「おう。」
タクシー乗り場的なノリで俺らは馬車に乗ろうとしたが、馬車の運転手に
「おい、金がねぇと流石にのせられねぇよ」
しまった一番大切なお金がないじゃないか。
「えーと…ないな。」
そんなときにポケットから金貨とメモが落ちた
「お金ありました!」
「あったか!こっから都まで結構遠いし山道があって料金が高めなんだ。だが金貨ならそこそこお釣りが余るぞ」
「いいえ。お気になさらず」
(そういえばなんかメモが落ちたな。)
開いてみてみると神から(そうそうお前の初期設定の場所山道だから都に行くまでに結構お金がかかるから気持ち程度入れておくぞ)
(神ならもうちょっといれてくんねぇかな)
そんなことを思いながら馬車に揺れているとすみれが青い顔をしている。どうしたと聞いてみると
「酔った、気持ち悪い」
「そんなことを言われてもなぁ」
「おう、これ飲んどけ、酔いどめだ。」
「ありがとうございます」
馬車の運転手が無表情だが優しくて良かったと思いつつすみれに酔いどめを飲ませたら少し顔色がよくなった、即効性らしい
「この酔いどめ即効性があってそこそこ高いんだ。すまんがその金貨をいただくぜ。あ、もちろん馬車代もコミでな」
「ありがとうございましたぁー!」
そう言って俺たちは、都に行くためのゲートをくぐった。確かに地球に似ているのかもしれない、何故かもしれないと言ったかというと簡単だ、海外に行くことがないからだ。
「すみれ、迷子にならないようにな、あれ?もういない、」
「やめてください!!!」
すみれの声だ。路地裏にいる
「そんなこと言わずに、ほら」
この世界でも柄の悪い奴らはいるらしい、
「はいはーい、お兄さん方、どっかいってくださーい」
「葉柳!」
「あぁーん?兄ちゃん俺たちに一人で立ち向かうつもりかぁ?なめるなよっ!」
(うわぁ、典型的なシチュエーション来たよ
このあと多分男のうちの誰かが殴るか、ナイフかなんかでくるだろうな)
「あはははは!」
「不気味な表情しやがって、お前死にたいのかっ!」
(あーここ笑うことを知らないんだその代わりに喜怒哀楽の哀と怒が多いんだ、)
「いや、死んだら使命を全う出来ないでしょう」
(一応地球ではある程度の運動をしていたがどうかなこの世界で通用するかな)
「殺す!」
(そう簡単に殺されると思うなよ…)
俺は男らの首を少し叩いた(良い子でも悪い子でも真似しちゃ駄目だよ)
男たちはすぐ気絶した。突然の事にすみれは驚いていた。
「葉柳、あなたなんでそんなに動けるの?」
「才能。フッ」
「むぅ、まぁいいや」
俺たちはまた一歩踏み出した
「はぁ、あいつは上手くやるんだろうか…」
葉柳に神と呼ばれていた男、いや、神には性別がないので正式には男らしい見た目をした
死の神、人間には死神と呼ばれている葬(そう)はため息混じりに呟いた。
「私が殺しといて何だが色々めんどくさいことになっている。だからお前には成功してもらわねば…私にはお前の人生をいいようにコントロールすることぐらいしかできん。」
葬はまた鏡で葉柳の様子を見ながら己の仕事をこなす。
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