番外編。この作品のプロローグ用に書いた没アイディア。

「さがせぇ〜。絶対に逃すな〜。食べてやる〜

奴は……あいつは!」


「ハァハァ ハァハァ…」


 大地を疾走と駆け抜ける一匹のリス。


「まてぇ〜。どこに行った?」


「ハァ…」


「あのリスはどこへ行った!?」


>>>>>>>>>>>>>>>>>>

「狩りをするなら山だろ!ゴブリンがいっぱいいるし」


「おお 山か!遭難してる女性を助けたりしたらイチャイチャ出来たりして!」


「おいおい。どんな妄想だよ」


 二人の冒険者は呑気に会話をしながら道を歩いていた。


「「うおっ!!」」


 冒険者の前を一匹のリスが現れる。


「ハァハァハァハァ。」


 呼吸を整えるリスに冒険者が不思議そうな目を向けて、話しかける。


「あれ?リス?何やってんだ?」


「ハァハァ…あっ。えっ?」


 辺りを見回すと化け物の姿は無くどうやら撒くことができたらしい。キョロキョロしていると冒険者達が興味深く俺を見る。


「リスに話しかけても伝わる訳ねぇーだろ。」


「そりゃそうだ。」


 笑い合う冒険者達。


「それにしても泥だらけだな。このリス。」


「何かしらから逃げてるんじゃねぇーか?リスなら天敵も多そうだし」


「あははっ。確かに弱っちぃもんな。」


 冒険者達が背負っている袋からパンを取り出し、一口サイズにちぎって俺に渡す。口いっぱいに詰め込んで頬っぺたが膨らんだ。



「すげぇ〜可愛い。口の中どうなってるんだ?」


「こんなに可愛いならペットにしたいけど、大家が厳しいからなぁ。」


「俺んとこも〜。野生で頑張って生きてくれ」


「そう言えば、そこのヤブを抜けたところに教会がある筈だ。教会なら動物の保護とかしてくれるはず…。」


「連れて行くか?」


「時間がねぇーよ。野生の動物にそこまでお節介焼いてたらキリがねぇ。もう行くぞ!」


冒険者達は再び歩き始める。軽く冒険者達に頭を下げて、俺も教会に向けて走り出すのであった。


<<<<<<<<<<<<<<<

 少し話を戻そう。


異世界転生。僕らの世界では、そう呼ばれていた。

目が覚めると森の中にいて、

リスの姿で生まれ変わる少年 坂本 大河。


 ステータスを開くと自分の能力を数字化されており、ユニークスキル〈恩返し〉〈言語翻訳〉が与えられていた。

____________________

【名前】坂本 大河 (LV1)

【種族】ゴールデンリス

【HP】22/22

【GP】22/22

【MP】0/0

【SP】0


【ちから】8

【素早さ】6

【精神】6

【知性】5

【運】 6


【ユニークスキル】

〈恩返し〉 〈言語翻訳〉

【スキル】

〈木魔法〉

____________________


〈恩返し〉心から感謝されるとスキルが追加される。

〈言語翻訳〉人間の言葉を理解。モンスターの言葉を理解して話すことができる。


〈木魔法〉をタップするとスキルツリーの様に画面が広がる。


 【木魔法】

↓ ↓

〈コノハ〉〈苗木〉→〈果樹〉

↓ ↓ ↓ ↓


 どうやらSPを消費して獲得ができる様だ。


【GP】とは、ガードポイント。HPが削れる前に体に膜を張っているGPが削れる仕組みになっている。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>


 この世界に生まれてから、やたらモンスターに襲われる。そういう時は冒険者に擦りつけたり、人が多いところに行けば…


「フフォッ!」


 俺はモンスターの腕に捕まり木に押し付けられた。


「ハァ。捕まえた。やっと捕まえたぞ!カミノ!」


「カミノ?」


「食べてやる〜サァお前を食べてやる〜。」


 モンスターが俺に強く圧力を駆ける。やばい…死ぬ……。


「おい。待たんか。」


 どこからかもう一匹のモンスターが現れる。


「死んだら効果が無くなるかもしれん。まずは足を折ってしまおう。」


「足を?」


グギギギギッ。


 あーもう。なんなんだよ。


「痛いよ!」


俺はモンスターに向かって、口に入れておいた木の実を放った。


「うわっ!」


 モンスターの拘束が解ける。モンスターは両手で顔面に抑える。


「うぅぅ。痛い…」

「逃げたぞ!追え!」


 俺は神殿へ向かい走り出した。



「おのれ…。いつまで泣いておる。さっさと行くぞ。」

「うぅぅ。」


 なんで…。どうして俺を襲う。何もしていないじゃないか……。


「明日から来なくていいよ。」

「優しすぎて好きになれない。友達じゃだめかな?」

「お母さんね。もう疲れたの。」

「何をやっている!」

「出来損ない」

「ろくでなし」


「ああっ…。うっ。」


ドサッ。


 俺は何かに躓いて、転ぶ。そこには小さなフィギュアが壊れていた。


「あぁ…解けた。私を封じた銅像が壊れたぞ」


「もしかして……。」


  俺は必死にフィギュアを直そうとするが、取れた腕が治りそうもない。


「どうしよう……。」


「うぉぉぉおおおおお。」


なっ何が起きてるんだ。フィギュアが光出す。


ゴクリッ。


 光が収まるとフィギュアが元の姿に戻っていた。汚れも落ちており、ヴァルキリーの様な見た目をしていた。


「ふふっ 可愛い……。」


ドォォォォン!


「ヒッ!!」


雷が落ちて近くの木に当たる。


「リスのくせに私を笑うなんて、万死に値するわ。」


「はぁ」


 フィギュアとくるりと回って決めポーズを決めた。


「ムムム?このリス見たことある様な。ない様な。」


「どっちだよ」


「思い出した!お前カミノだろ!ゴールデンリス。」


「そのなんだ。カミノって誰だ?」


「ムムム?お前さんカミノのじゃ無いのか?よく見れば目元が少し違う。ムムムお前は誰だ?」


「俺はタイガだ。」


「ゴールデンリスの別の個体か…。それは災難だったな。ほとんどのモンスターがカミノを恨んでおる。」


「えっ??」


「カミノもな。お前と同じモンスターと会話ができるスキルを持っていての。興味本位で周りに話しかけていたら、鬱陶しがられて群れから追い出されてしまった。群れから追い出されたカミノはいつも一人で寂しそうにしておったわ。」


 俺もその立場になったら悲しむだろう。

一人はつらい。


「そこで、カミノはモンスターを倒し始めた。「俺を食べたら永遠の命が手に入る」って言ってな、毎日のように訪れるモンスターに決闘を挑んでおったわ。」



 ゴールデンリスを食べると不老になると聞いておる。本当かどうかは、分からんが今ここにゴールデンリスが居る。試しても構わんな?


お前を食わせろ〜!!」


そういうとフィギュアが俺に襲いかかって来た。

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