第3話 [マルタ村]

「うぉぉぉぉお!ここが街か?」


おいらが着いた場所は、村であった。


 なんだろう。道路が無い田舎って感じだ。おいらの家も田舎だったので実家のような安心感がある。


〜マルタ村〜


「おかぁぁさぁん!ただいま!」


「コラッ!勉強しないでどこ行ってたの!」


 チョコレートが家のドアを開くと、奥さんが般若のお面を被って現れた。オワッ。コワッ!


「お母さんの為に薬草取って来たの!!」


両手に持った薬草をお母さんに渡す。お母さんは少し苦笑いした。般若みたいな顔だった奥さんが天使に変わる。


「火傷ぐらいで大袈裟よ!でもありがとう。嬉しいわ」


 奥さんはチョコレートを抱き寄せ頭を撫でた。チョコレートもニヤニヤと嬉しそうだ。ところが!奥さんが般若に戻る。


「森に一人で入っちゃダメって言ってるでしょ!」


 頭をグリグリする奥さん。涙目を浮かべながら謝るチョコレート。それを見て笑うおいら。おいらもお母さんに会いたいなぁ


「一人じゃ無いもん!リスさんと一緒だったもん。」


 チョコレートがそう言うと、奥さんがおいらを見る。そして視線をチョコレートに戻した。


「どこで拾って来たの!野生の動物は拾ってこないって約束したじゃない!拾った場所に捨てて来なさい!」


「いやだぁぁ〜。ポン太は私の命の恩人なの!」


 ん??ポン太って誰だ?


「ポン太ってだれよ!」


 奥さんナイスツッコミ!!おいらも気になる。


「リスのポン太!」


 良い名前だぁ。これからおいらポン太って名乗ります。


「チョコレートったら名付けまでしちゃって。まぁ仕方ないわね。飼って良いわよ。」


 奥さんが腕を組んではぁ。と気が抜けたため息を吐いた。


「で、命の恩人とは?」


「ーーーーはっ!?」


 奥さんがチョコレートを睨む。目を逸らしてそっぽを向いたチョコレートが下手くそな口笛を吹きながら家から出ようとする。がしかしお母さんによって捕まった。


「なんだって!キャーピラに襲われた所を助けてもらったって!襲われる前に見つけたら逃げなさいって言ったわよね!」


 奥さんの怒鳴り声が家に響く。涙目のチョコレートが土下座を決め込んだ。


「ごめんなさい。お母さん。」


 お母さんはぎゅっとチョコレートを抱きしめて。


「無事でよかったわ」と呟いた。


 その言葉を聞いたチョコレートが泣き始める。

幼い子が森に一人で向かうなんて怖かったに違いない。よく頑張ったよ。


 泣き止んで大人しくなっているチョコレート。奥さんがおいらに視線を向けて話しかける。


「私は、マーニャ。娘を守ってくれてありがとう。ポン太ちゃんこれからも娘をよろしくね。」


「チュ!!」


おいらを人差し指で軽く撫でて、キッチンへ向かうのであった。


『スキル【恩返し】を発動しました。

恩返しの効果によりスキル【コノハ】を獲得しました。』


【コノハ】葉っぱを 相手に 当てて 攻撃する。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


〜食卓〜


「ポン太って嫌いな食べ物ある?」


 おいらは首を振る。何を隠そうおいらは好き嫌いが何一つ無い偉い子なのである。


「凄いなぁ、ポン太は。私いっぱいあるの。ニンジンやトマト。イナゴやカエルなんかは、嫌い。」


 カエルって食べれるの?寄生虫がいっぱい居るって聞いた事あるぞ。YouTubeとかで虫を食べる動画とかあったけど…。おいらそんなゲテモノ食べた事ないよ。


「ご飯よ〜。」


 マーニャがテーブルの上にご飯を出した。ジャガイモのいい匂いがする。おいら用の小皿が出される。中にはミミズが大量に入っていた。


「ーーーチュ!」


 おいらミミズなんて食べないよ!みんなと一緒がいい。おいらだけミミズなんて嫌だよ。


「お母さんったら〜ポン太のご飯はこれじゃダメだよ。」


「あら?そうなの?ご近所さんが飼ってる鳥にはこれが喜ぶって聞いたんだけど。」


「ポン太のご飯はねぇ〜これよ!」


 チョコレートはドングリを取り出しておいらの前に置いた。


「リスのご飯は木の実やドングリよ!」


おいら普通のご飯食べたい……。

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