2日目 我が家のアイドル

うちには犬がいる。トイプードル。雄。4歳。師走九日生まれ。

小学六年生の頃、僕はとてつもなく犬が欲しかった。

なぜか。

その頃、従兄弟が犬を飼い始めた。

従兄弟は犬を連れてお盆に帰省した。

僕は彼と、犬と共に一夜を明かした。

それが理由だ。

しかし、犬を飼い始めるまでには大きな障壁があった。

父。

彼は生粋の犬嫌い。

犬が近づいてくるだけで露骨に嫌な顔をする。

彼を如何に説得するか。

そうだ、こうしよう。

僕はいつの日かのメロスのように走った。走って毎日ぺットショップへ通った。

いつの日か、我が父も心を折られ、ペットショップまではついてくるようにはなった。しかし、一向に犬には興味を示さず、可愛い店員さんの方に彼の興味は向いていた。

そうして迎えたある日。

今日も彼をペットショップへ連れてきた。

「この子抱っこしても良いですか?」

この声の主は、、、そう、、、my father.

え。

これはいける。

そう確信した私はこちらの味方であった母と共に猛攻を仕掛ける。

「ほんとにこの子でいいの?」

この声の主はまたしてもmy father.


後日。

我が家へ彼がやってきた。

名前はまだ無い。

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