幼馴染の兄弟
昨日の夜は楓君とたくさんお話ししちゃってかなり寝不足だ。眠いと思いながら体を起こすと、楓君はまだ夢の中だった。学校行くまでに間に合えばいいし、あとで起こしてあげよう。僕は準備が終わるまでに時間がかかるから、早めに起きて準備してから二度寝をしよう。
リビングへ行くと忍兄が起きていた。優しく微笑んでおはようと声をかけてくれた。おはようと挨拶を返して顔を洗いに行くと、幼馴染がいた。お隣さんで小さいころから仲が良くて、お隣さんも兄弟で、兄は忍兄と弟は僕たちと同い年。学校も同じだからたまにこうして家に来ていることがある。ちなみに今、目の前にいるのは銀髪青目の男、狼谷颯真(かみや そうま)。兄弟の兄の方である。狼谷兄弟も攻略対象にあるので、忍兄の恋人になるかもと思うとちょっと気まずいな。前までは気にしてなかったけど、やっぱり前世の記憶があるのとないのでは違うよね。
「…大丈夫か?」
心配そうに顔を覗き込んできた。確かに何も反応せずに突っ立っていたなぁ。
「大丈夫…半分夢の中にいるだけだよ。」
ぽやぽやとした感じで返すと、颯真君は、ぽんと僕の頭を撫でて忍兄がいる方へ向かった。本当にあの人は無表情だし口数少ないし…クールなのに優しいみたいな感じで人気だったよなぁ。運動が得意で色んな部活の助っ人やってるし。颯真君のストーリーはどれもほのぼのしていて好きだったなぁ。
顔を洗ってまたリビングへと戻ると、颯真君はのんびりテレビを見ていた。忍兄は僕の朝ご飯を用意していてくれて、僕はそれをもぐもぐと食べる。楓君は朝ご飯をあまり食べないから、僕と忍兄で朝食をとることが多い。待たせてしまって申し訳ないけど、忍兄は一番早起きだから…。同じ時間に起きるのは無理…。
「陽奈。楓は今日はギリギリに起きるの?」
「うん。昨日ね、遅くまで話してたから。」
「今日は早く寝るんだよ。それと、あとで春臣(はるおみ)が来てくれるから、一緒に登校するように。」
春臣とは狼谷兄弟の弟の方である。銀髪でメカクレ系男子、超高身長で服装が学校の規定を無視しているレベルの不良である。颯真君とは違ってなんか人懐っこい犬のイメージだ。
「春臣君…?いいけどなんで?」
彼の設定は早起きが出来ないため、いつもギリギリに登校するはずだ。たまに一緒に登校しているけど、別に約束しているわけではない。
「昨日のこともあるし、しばらくは3人で登下校してね。」
心配しすぎではないか。竜宮さんのあれは特殊イベントだと思うんだけど。あの後無理に連れて行くようなイベントは、僕たちじゃなくて忍兄に起きると思うんだ。休日に急に家を訪ねて無理やりデートするのは忍兄にしか起きないイベントだよ。
「うーん、大丈夫だと思うけどなぁ。むしろ春臣君のせいで遅刻とかしたら怒っちゃうかもよ?」
「取引しているからその心配はないよ。陽奈と楓は安心してね。」
と、取引って何をしたんだろうか。ちょっと…いや、かなり気になるんだけど…。
ぼんやりと考えていると2人はもう家を出るようで、僕に手を振って玄関に向かった。僕は2人を見送った後に楓君を起こそうと、部屋へ向かった。
サポートキャラである主人公の弟たちになったけど、兄が過保護です 九十九まつり @tsukumo_matsuri
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