第2話:来客は


 「ビール加速ザーサイ」は既に瞬殺であった。


 私は今日のメンツを注意深く観察する。

 相手は全員かなり飲める連中だ。

 しかも各々の好みも違う。

 とりあえずはビールでいいだろう。

 しかしつまみが出始め興に乗り始めると各々が好きな酒を飲み始める。

 そしていつもカオス、「ちゃんぽん」へとなって行き二日はうなされる羽目になる。



 そんな事は許されない!



 せっかく手に入れたプラモデルを作ると言う私の楽しみを邪魔させるわけにはいかない!!



 「はぁ、うまかったが次のつまみまだか?」


 忠司(仮名)はそう言ってコップをかかげる。

 そう言えばこいつは生ものがダメだったな?

 羽澄もいるからここは一気にこいつらから行くか。



 「ちょとマテ、今作ってるからな」


 私は言いながらチルド餃子(野菜)をレンチンする。

 そして卵を割って掻き回しフライパンに流し込みながら平たくする。

 そこへ先ほどのレンチンした餃子を華が開くように並べその上にとろけるチーズを振りかける。

 塩コショウに乾燥バジルを少々、蓋をして全体が焼き上がったらお皿に移してそこへトマトケチャップとマヨネーズを網目にかけて行く。

 最後に乾燥パセリをふりかけ完成。



 「お待たせ、『餃子のフラワー焼き』だ」



 おおぉ~!



 チルド餃子を放射状に規則正しく並べると花が咲いたように見える。

 さらに下地の卵が黄色いので餃子の白さも相まってまさしく大輪の花。

 そこへマヨネーズとトマトケチャップ、香りにバジルと見た目でパセリ。

 一気にイタリアン風に見える餃子はビールに最適だ。



 忠司と羽澄はたまらず箸を出す。



 「ぱくっ! もごもご‥‥‥ うめぇっ!」


 「餃子にこんな使い方があっただなんて」


 「どれどれ? んっ! 卵焼きに餃子の味が結構合う!?」



 言いながらみんな次々とビール片手に「餃子のフラワー焼き」を食べて行く。


 くっくっくっ、これでもうすぐビールが無くなるな。



 「さあ、 Anfang (始まりだ)!」




 私は次なるターゲットに目を向けるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る