04-02 『私の日常④』 Side:Ivy
「解析、終わったのか?」
ベッドの横でハイドを見守っていたジキルが、こちらを振り返りもせずに問いかける。
時計の針がチクタクと規則的にリズムを刻んでいる。
「うん、次の目標は……町外れにある古い施設」
「施設?」
そこまで言うと、やっと興味が湧いたのか、彼が振り向いた。
「うん、昔……って言っても10年くらい前までは研究施設として使われてたみたい。変な噂も流れてて、子どもにとっては丁度いい心霊スポットって感じかな」
「そうか。じゃあすぐにでも、」
腰を上げかけたジキルの動きがピタリと止まる。よく見てみると、ベッドの上から伸びるハイドの手が彼の右手をガッシリと掴んでいた。
「ダメだ、お前、も、疲れてるだろ……」
薄目を開けたハイドがジキルに呼びかける。
はぁぁ、とジキルが大きなため息をついた。
「お前ほど疲れてはないけどな」
「でも、今敵にここが叩かれて、ジキルも居なければ、ひとたまりもないよ?」
「……そうだな。すまんアイヴィー、ちょっとだけ寝る」
私の言葉が通じたのか、ジキルが再びベッドの上に腰掛ける。
彼の目は、何か愛おしいものを眺めるように細められていた。
「うん、分かった」
「何か起きたら起こしてくれ」
私がうなずくのを見てから、ジキルはベッドの上に突っ伏した。
並んでグッスリと眠る二人の顔は、まるで遊び疲れた子どものようだった。
「私も頑張らなきゃなぁ……」
薬指にはめられたハイドからの指輪を指でなぞりながら、私はパソコンの前で大きく伸びをした。
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