01-02 『何でも屋①』 Side:―――
「ねぇねぇ、何でも屋って知ってる?」
「あ~、聞いたことある!確か、困ってる人を助けてくれるんだよね?何かヒーローみたいでカッコよくない?」
「だよね!しかも、ホントに特殊能力を持ってるなんて噂もあるし。あぁ~、私もいつか会ってみたいな〜」
「アハハッ、○○ちゃんそういうの大好きだもんね〜、でも、何でも屋と会うのって、凄く難しいんじゃないの?」
「そうなんだよ〜、彼らも、正体を隠して活動しているだけあって、どんな人達なのかは全然分からないんだって。」
「そうなんだ。……会えるといいね。いつか」
道端で話し込んでいる少女達を傍目に、私は案内された通りの道を辿って右に曲がる。
(困った人を助けてくれる…ね)
何を言おう、私も今から、その何でも屋に会いに行く所なのだ。
と言っても、既に依頼はネットを通して済ませてある。今から向かうのは、依頼の結果を受け取りに行くため。
正直、自分でも未だ半信半疑だ。
本当に彼らが今の私を助けてくれるのか。
それでも、藁にでもすがる思いで、彼らに頼るしか道は無かったのだ。
「ようこそ、何でも屋へ。」
背の高い青年が私に話しかける。こんな時、彼の整った顔立ちをみて、モデル向きだなぁと考えてしまうのは完全に私の職業病だ。
彼に案内されるようにして、私はソファーに腰掛けた。
机の上にはご丁寧に紅茶とお茶請けが置いてある。
「俺はハイド。あそこに居るのがジキル。俺達二人が、ここの経営者です。それから、この子がアイヴィー。俺達のサポート役です。」
「初めまして。えーっと、ミナモ社社長のスキャンダルの証拠品についてで
すね。」
反対側のソファーに腰掛けたアイヴィーさんは、部屋の中だというのにマスクで顔を隠していた。
パラパラと紙の束をめくって資料を探しているようだ。
ふと、彼女の顔をどこかで見たような気がして、じっと見つめてみる。
直ぐに気がついて彼女が視線を上げた。
少し気まずくなって、視線が重ならないように顔を背ける。
それにしても、素性を隠しているにしては意外にもあっさりと自己紹介されるんだなぁ。そんな印象を抱いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます