　その後、手土産のケーキを何故か一緒に食べ帰社した俺は、今日の仕事を片付けて家路についた。

「ああ、〇〇さん、素敵な人だったなぁ」

そう、俺は〇〇ホールディングスの御令嬢に一目惚れしてしまったのだ。

　…しかし、この胸のトキメキは、動機息切れも伴っていた。

　––– 嫌な予感がするんだ。

　俺は夕食の事も忘れてPCの電源を入れた。

表示されたツイートに、疑心が確信に変わる十分な証拠が記載されていた。

『みんな！今日はね…… 取引先様が父の会社にお越しになったの♡ 凄く気の利いた方で、お土産にケーキを頂戴しちゃった♪ それに、私の事を御霊場って読んでくれて…照れちゃうよぅ😍』

　…誰が屠ると言った？俺が言ったのは御令嬢だ！

「そうじゃねぇぇえええ！！！　アンタかぁぁああ！！！」

　遂に俺は返信ツイートのボタンを押した。

「はじめまして、〇〇さん。以前から気になっていたのですが…… ゴキが多く見受けられます」

　––– 遂に書いた、書いちまった。焦って『誤記』をカタカナにしちまったぁあ！！　ヤバい！　『G』と思われる！コレじゃあ、ただの嫌がらせみたいファー！

『□□（ハンドルネーム）さん。コメントありがとう♪ 豪鬼ですか？　私はガイル派です♡』

　––– ソニックブームッツ！！　って何？！ゲーマー？！　豪鬼の大群って、どんな解釈？！

　それと…返信ありがとう。

『みんな！さっき、格闘ゲーム好きの方からコメントもらったの♪ 皆さんの推死キャラはなんですか？　私はダルシム♡』

　…余がファイヤー？！　ガイルじゃないの？！　って言うか、俺、格ゲー好きの人になってる？

『みんな♪沢山のコメントありがとう😊

私が格ゲーするなんて意外ですか？　うふふ、実は妹とよく対戦するんですよ💦　

妹はズコック強いんですよ♡』

　……ガンダムの格闘ゲームあるの？

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