いざ、〇〇ホールディングスへ

   ––– シューン…… 訪 問 


 …こんなに大きな自動ドア初めて見たよ。

音も静かだし。流石は超一流企業だなぁ。

 …わぁ、受付けの人も気品があるなぁ。


『お待ち致しておりました。□□商事のニッポン様ですね。 こちらのインベーダーで、最上階にお上がりください』


 …あの、部長ッ! わざとじゃなく本気で俺の名前間違ってる?!

 それと…うん、聞き違いだろう。俺は侵略しに来た訳ではないのだから。


 ––– すげぇ!最上階が29階って、どんだけデカいんだよ?!


      ♪ポーン♫

 『二重苦29かい?社長です』


 …エレベーターの音声だから仕方ないけど、

縁起でもない発音に聞こえたな……『室』も抜けてた気がしたし…… それとも、これが普通なのかな?


『待っていたぞ!! ケンタロウ!!』


 ––– 何故?! エレベーターの前で社長が仁王立ち!? さらに俺の名前ッ!もはやニッポンでもないし!!

 それに•この感じ•嫌な•予感しか無い。


「はじめまして、□□商事の日乃本と申します。本日は………中略… と、いう訳で資料をお持ち致しました」


『聞かぬ! 聞かぬのだ……』


––– 聞いてくれ。


『そうじゃ、聞いてくれるか?』


……はいこっちの台詞だ


『先日、ヘッドバッティングで人材を確保したんじゃが……』


 …… ハンティングだよ、撲殺してどうする?! …って、んんん?!


『「俺の在籍に名前は要らぬ!」と言って去っていったのじゃ!ふははははっ!!』


 …… 何故かその人と会った気がします。きっと、昨日の晩コンビニのレジ打ちしてくれたヤツだと思います。


「…それはそれは、大変でしたね。ああ、そうでした。つまらぬ物ですが、御息女と召し上がって下さい」


『これはこれは…つまらぬ物を感謝する! 丁度今、娘が来ておるのだ! うぬも一緒に茶にしようでは無いか!』


 …… 初めて聞いた。つまらぬ物返し!

   ……うぬ?とは?

     ……娘さんココにいるの?


 (そこに〇〇御令嬢、登場!!)


『あら?お父様。お客様がお見えでしたのね。私はセキを外しますね』


 …ああ、何て可憐な淑女なのだろう。

 …でも何故だ? 至ってまともな会話の筈だったが、「席を外す」に強烈な違和感と危機感を感じるよ?


 ––– これが後に知る事となる…

俺と〇〇さんの初対面、ファーストインパクトであった……

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