急性種

    ガーー入店


『この刻を……待っていた!』


… ああ、終わった。確実に終わった。

 だって、店員さんがGジャンに甲冑姿なんだよ?

 このまま退店しようかな?


『なんと今なら……カルビ弁当を半額だ岩山両斬破!買っていくがいい!』


 …半額?! これは買わねば! 店員さんは、なんかヤバいオーラを放ってるけど…

 ああ、でも怖いなぁ。劇画調だなあ。拳握り締めて『ポキポキ』鳴らしてるし…


「…この、カルビ弁当ください」


『あーたたたたたためます!!』


 ––– 確定?! いや、いいんですけど。


『ほぉ〜 熱っちゃあああ!!』


 ––– まだ、熱くないですよね?


『お前の命はあと、3秒だ。(ピッ)』


 ––– 温め時間短くない?


『それからな 一歩でも動いたら ボン!だ』


 ––– 一体、何Wに設定したんだよ?!


       (チ〜ン)


『貴様には地獄すら生ぬるいッ!!』


 ––– 生ぬるいのは、カルビ弁当だ!!


『哀しみや苦しみだけではない、おまえもぬくもりをおぼえているはずだ』


 ––– 俺が覚えている弁当の温もりは、もっと熱いんです。 うん、「もう、帰ります」


『お前が逃げたら牢番レンジあの子カルビはどうなる…』


「わかりました、買いますよ!1000円からでお願いします」



『きさまは最初から死神ジョーカーを引いていた!!』


 ––– 俺はアナタに引いています。


『もはや次の一撃がわれらの最後の別れとなるだろう』


 …… なんとも斬新なお釣りの渡し方ですね?



 ––– こうして、俺は生ぬるい弁当を手に、家路についた。

 家で温め直そうという決意を胸に………


       【第2章完】

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