第47話 私は、大丈夫です。寧ろ本望です


「へぇ……魔族って言うからもっと田舎のイメージがあったんだけど……結構都会じゃないか!?」


 魔大陸に降り立った俺達は、魔族に変装する事で、民衆に紛れる事にした。ミファイラとドラ子は、そのままで大丈夫なので、俺とエリス様とエメラダは、魔族に見えるように変身する事にした。


 変身と言っても、エリス様とエメラダは、元々変身が出来るので、肌の色を変えて小さな角を付け、俺は変化の魔法で魔族になりきる事にした。


「完璧じゃ無いか?」


「……素敵です♡」


 ミファイラは、ぼーっと俺の方を見ていた。


「どうした?魔族の格好の方が好みだったか?」


「あ、あの……はい♡」


 ミファイラは、真っ赤な顔を俯いて隠していた。可愛いやつだ。


「発情したメスの匂いがするんじゃ……」


「エメラダ様!?」


「良い良い……我は、愛には寛容なんじゃ」


 エメラダは、何かを感じたらしいが、俺には分からなかった。


 俺達は変装して、難なく魔都マゼルハーゼンに潜入することが出来た。


「門番も俺達の正体に気付かなかったな?」


「ふふん!当然なのじゃ」


 王都に潜入すると、そこは多くの人種が入り混じるカオスというより、理想の世界が広がっていた。


 元は魔物だったのだろう人種達。この辺りは魔素の濃度が非常に高く、魔物が進化しやすい環境が整っている。


 ゴブリンの上位種やコボルトの上位種をはじめ、ウサギの耳をした人種までいる。


 その中で角を持つ魔族は、ごく少数に見えた。


「ところで、魔族の金って違うのか?」


「他の大陸とは、違う貨幣ですが、心配はいりません。私が持っていますよ?」


「悪いなミファイラ。ここは、お前に頼らせて貰うよ」


「大丈夫です。どうせ信者から巻き上げ……ゲフンゲフン!……信者のお布施です。全ては、アリマ様の物になります」


 なんか、今変な事を言っていたような気がするが……気のせいか?


「取り敢えず、今日の宿を探すか?」


「それなら、魔神教……アリマ教が運営するホテルがあるので、どうぞ使って下さい」


「ホテル?すごいな……魔神教って手広くやっていたんだな?」


「はい……国家予算くらいなら動かせます……」


「マジか……」


 ミファイラに案内してもらったホテルは、とんでもなく大きかった。


「ここが……ホテルなのか?」


 どう見てもリリアスの城より大きい建物は、地上30階はありそうだった。


「ホテルエメラダ……総部屋数は245部屋を用意してあり、この王都でも最大のホテルになります」


「いらっしゃませ!本日は、ホテルエメラダをご利用ありがとう御座います」


「ご苦労様……教祖様と女神様入れて五名。最高の部屋を用意して?」


「あ、これはミファイラ様!?す……スイートルームにご案内いたします!」


 スイートルームだって?大丈夫なのか?


「では、こちらに署名をお願いします」


 俺達は、言われた通り署名をしていった。


「アリマ様!?教祖様!?エリスラーダ様!?女神様!?え……え!?エメラダ様!!!?ええええええ!?破壊神様あああああああああああ!!!!」


 なんか、受付嬢が騒がしかったけど、俺達は最高級スイートルームに案内された。


 スイートルームは、二部屋用意してくれた。


 部屋割りは、エリス様の指定で、俺とミファイラが同室になった。もっと仲を深めよとのご指示だ。


「ミファイラ。よろしくな?」


「はい……こちらこそ……優しくして下さい♡」


 これなら……眷属解放出来るかもしれない。


 スイートルームは、とにかく広かった。リビングに寝室が別になっていて、ベッドは天蓋付きの大きなキングサイズが一つ……?


 ひとつだよな?


 全部の部屋を見直してみたが、ベッドは一つしかなかった。


「ふぅ……どうやら。一緒に寝るしか無いらしい」


「あの……私は、大丈夫です。寧ろ本望です……」


「そうかなのか?」


「はい♡」


 今日はもう遅い時間なので、食事にしようと言ったら、部屋まで運んでくれるらしい。


 エリス様の部屋には、既に食事を運んであるとの事だったので、ドラ子とエメラダは良く食べるから多めに運ぶようにしてもらった。


「ドラ子様は良く食べるのですね?」


「ああ……あいつは白古龍だからな?」


「え?」


「あいつの本名は、確か……レビ?」


「エンシェントドラゴン……レヴィー?」


「そうそう!そんな名前だったな」


「まさか……白竜山の主がドラ子様だったんですか……」


「あいつは元々、エリス様のペットらしいからな?」


「ペット……」


 それから、部屋に運ばれて来た食事は、見たこともない料理ばかりだった。


「こんなに食えないぞ?」


「残しても大丈夫です。残った料理は、孤児院に無償で提供されていますので」


「それなら、無駄はないのか?」


「これなんかは、オーク肉の燻製です。どうですか?」


 ミファイラがフォークで俺の口元に持って来たので、あーんをしてしまった。


「ベーコンだな……カリカリ具合が絶妙で……うん美味い!」


「養殖オークは、知性もなく食用なので安心して下さい」


「養殖なのか……」


 俺は、オーク牧場を想像してしまった。


「ブヒィ!!」


 ……考えるのはよそう。飯が不味くなる。


 それから俺は、孤児院の事と自分の腹のことを考えて、食べ過ぎないように味わって食べる事に集中した。


「ふぃ〜堪能した!ご馳走様!」


「お口に合って良かったです」


 魔都マゼルハーゼンか……魔族の国と言っても、国としての発展レベルはエリス神聖国やリリアスに比べると、断然魔族の王都の方が発展していて、技術レベルも高そうだ。


 ただ、スタール王国だけは別で、あの国には転生者の王がいるおかげて、他国よりも技術水準が高かった。魔動車まで作っていたからな?


「どうしました?」


「いや……良い街だと思ってな……」


「うふふ……私もそう思います」


 魔王が復活したと言うが、果たして魔王は、本当に攻めてくるのだろうか?


 魔王と対峙する前に、やれる事はやっておくか……。


「ミファイラ?風呂は部屋にあるのか?」


「はい、こちらに……」


 ミファイラに案内された風呂は、10人が入っても余裕があるくらい広かった。


「これ、部屋風呂だよな?銭湯じゃ無いよな?」


「ワンフロアを贅沢に使ったお風呂です」


「ワンフロア?」


 下の階を全て風呂にしたのか?


「いつでも入れますが?入りますか?」


「すぐ入るぞ?」


「はい♡」


 俺が服を脱いで風呂に入ろうとすると、ミファイラが手伝ってくれた。


「畳んでおきますね?」


「一緒に入るか?」


「もちろん♡お背中をお流ししますね♡」


 ミファイラは、下着まで脱ぐと裸のまま俺について来た。


 ミファイラの気持ちの整理はついたのだろうか?


「ミファイラ?俺には……眷属を解放する力があるんだ」


「眷属解放……封印を解くという事ですか?」


 ミファイラが本当に悪人なら躊躇する所だが、これまでミファイラの性格を見て来たが、解放しても問題は無さそうだった。


「ああ……そうだ。エリス様より頂いた俺だけの力だ」


「私は……解放されても良いのでしょうか?」


 謙虚な所……それも、お前の良い所だ。

 

 俺は、ミファイラを抱きしめた。


「俺は、お前の罪ごと貰ってやる……」


「あああ……はい……」


「だから……お前は俺についてくるだけで良いんだ」


「はい……一生ついて行きます……」


 俺は、優しく……ミファイラにキスをした。


「ちゅ……んちゅ♡……んんん♡」


「ミファイラ……好きだよ?」


「私も……アリマ様が大好きです♡」


「解放術式……オープン♡」


「んんあ!アリマ様!大好きですぅ!……んん♡はぁああ♡……んん……いい……あん♡……♡んああああ!!」


「ミファイラ……大丈夫か?」


「んんあ!……はい……大丈夫です♡……んはぁあああ♡……アリマ様♡……どうぞ♡来てください!」 


「ならば……行くぞ?眷属解放!」


「……んんああああ♡ああん♡……いいっ!いい♡……んんっ♡んんあぁ♡……んはあああああああ!!……なんか………温かいものが……アリマ様のお力が……私の中に……入って……力が……溢れて……溢れちゃいますぅぅうううう♡」


「ミファイラ!」


「はああ♡……あん♡ん、ああ♡あん♡あん♡あん♡んあああああああああああああああああああああああ!!!」


 

 ……こうして、ミファイラの眷属解放は無事に終了したのだった。








あとがき


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