第43話 5年もあれば大丈夫だぞ?



 サフィーネの屋敷に潜入した初日にもかかわらず、サフィーネの眷属開放は成功した。


 サフィーネは筋肉にばかり興味があったので、無理だと思っていたんだけど……何とかサフィーネの眷属解放が終わって安心していたのは間違いだった。


「アリマしゃま♡」


 そうだった……ここに滞在中は、サフィーネと寝る事になっていたのを忘れていた。


 サフィーネは、まだ俺の筋肉……いや胸筋に頬を擦り付けていた。


「そろそろ寝るか?サフィーネ」


「んにゃ♡」


 俺はベッドに横になり、俺の胸に頬擦りするサフィーネの頭を優しく撫でながら眠りに落ちた。



◇◇



 翌朝、目を覚ますとサフィーネは、俺の真ん中の太ももと格闘していた。


「むほう♡なかなかやるでは無いか……ならばこれはどうだ?」


 何でサフィーネは俺の太ももと腕相撲しているんだ?


「……何をしているんだ?」


「お!起きたかご主人!」


 え?ご主人だって?


「ご主人?」


「そうだぞ?うちに……あああ、あんな事までして……逃げられると思うなよ?ご主人♡」


 そうか……サフィーネには説明していなかったか?


「サフィーネは、俺と眷属開放を行っただろ?あの儀式は、俺とサフィーネの結婚の儀式と同じ事なんだぞ?」


「え?では、ご主人とうちは?」


「逃げるも何も……俺達は、もう夫婦だぞ?」


「ふぇ?そうなのか?ふふん!ならば遠慮はいらぬな?」


 え?今まで遠慮してたのか?


「ああ……遠慮するな?」


 俺が遠慮するなと言うと……サフィーネは、猛獣の如く俺に伸し掛かって来た。


「遠慮するなとは言ったが、俺は一応エリス神聖国とリリアス教国の王だからな?」


「何?王様だったのか?ならば世継ぎが必要ではないか?早速だがディスモルト伯爵家の世継ぎを頼むぞ?」


「そうか……サフィーネは伯爵だったな」


 俺の所に嫁ぐにしても、領主となれば……この地を離れる事は出来ないのか?

 跡継ぎが出来れば、伯爵家を継がせて俺の所に来れると言う事か……。


 最低でも15年かかりそうだが?


「獣人は成長が早い。5年もあれば大丈夫だぞ?」


 そうなのか?獣人って成人年齢5歳でいいのか?


「ご主人♡世継ぎが欲しいぞ♡」


 サフィーネは、俺に伸し掛かったまま……俺にキスをしてきた。


「んん……ちゅ♡」


 サフィーネのおねだりは、さすが猛獣の獣人というだけの事はあった。


 これが本当の肉食なのか?


 俺の跡取りでなく、サフィーネの跡取りという事であれば……断る道理は無かった。


 激しいキスの嵐に、歯型が付く程の激しい愛情表現は、眷属解放した事によって更に増し、眷属解放によって強化された俺じゃ無ければ受け止めきれない程だった。


 俺ならばすぐ回復出来るけど、せめてイク時に首筋に噛み付くのはやめて欲しかった。


 一般人なら、頸動脈を噛み切られて死んでいる所だった。


 ガブっと、ひと噛みやられた時は……吸血鬼かと思ったぞ?


 兎に角、サフィーネは筋肉好きの肉食獣人だと言う事がこれで判明した。


 朝っぱらから、コレなので……この先が思いやられる所である。


「ところで、いつまでこうする気なんだ?」


「ご主人は、また旅に出るのだろう?ならば、うちが満足するまでは、いて貰うぞ?」


 マジか?


 昼間は仕事があるとかで、解放してくれたが、夜から次の日の午前中までは、サフィーネは肉食獣になって俺に襲い掛かって来た。


 そんな日が一週間ほど続いたある日……。


「出来たぞ!ご主人!ウチの子だ!」


「え?早く無い?」


 どうやら、もう子供が出来たらしい。


「ちゃんと妊娠検査魔法で確認したぞ?間違いない!」


 妊娠検査魔法?


 俺が、サフィーネのお腹辺りの魔力の流れを確認すると……確かにもう一つの魔力を感じる。これが子供なのか?


 こんなに簡単に分かるものなのか?


「そうか……良かったな?」


 そして、俺はやっとサフィーネから解放された。



◇◇



「アリマ!大丈夫だった?」


「心配かけたな、リリム……」


 俺はサフィーネにほぼ軟禁されていたので、皆に心配をかけていたのだ。


「旦那様よ……かなり疲れが溜まっておるようじゃな?」


 肉食獣の相手をしていたからな……。


「エリス様ご心配おかけしました。もう大丈夫です」


「無理は禁物じゃ。今日はわらわと同衾するのじゃ♡」


 え?もしかしてバレてるのか?


 子供を作るのは、エリス様からと決めていたんだけど……。サフィーネに先を越されてしまった。これは……今日の夜が怖くなって来たぞ?


 すると、アンリにティナ姫、マリ姫、ラミレス、レスティア、エメラダにまで囲まれてしまった。え?ドラ子?お前は違うだろ?


 いや、違うんだよ?あれは……サフィーネが無理やり……え?


 自分も子供が欲しいって?そうなの?サフィーネだけじゃないのか?


 レスティアにはまだ早いと思うぞ?


 アンリはまだ眷属開放して無いからな?それに、まだ15歳だよな?


 え?マリ姫?マリ姫もまだ15歳だよな?


 ティナ姫も眷属開放してないからダメだって!もう22だから早くしたいのか?


 ラミレスも?行き遅れだから?早く欲しいって?


 ちょと、エメラダとは結婚してないんだけど?


 ……こうして、サフィーネから始まった子供騒動は……暫く続くことになったのだった。









あとがき


少しでも続きが気になる。更新頑張ってと思っていただけましたら

執筆を継続する為の励みになります!

☆☆☆、♡で応援頂けると嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る