第41話 しゃぶっても良いか?いいよな?



 ――どうしてこうなった?


 俺達は、スタール王国のディスモルト伯爵の屋敷に潜入したんだけど、実は伯爵本人がエリス様の眷属だったんだ。


 その眷属の名前は、サフィーネ・ディスモルト伯爵。


 サフィーネは無類の筋肉好きで、俺の筋肉が大層気に入った様子だった。


 そして、俺は一人。サフィーネの部屋に閉じ込められてしまったんだ。


「はぁ……はぁ……筋肉ぅ♡」


 サフィーネはライオンの獣人で、ここザンスタルの町も獣人の町だった。


 ライオンと言っても……雌ライオンなので、たてがみとかは無いみたいだ。


 あったら怖い。でも、ライオンと言うよりは猫に近い。実際にサフィーネの目は猫目をしていた。


 因みに、サフィーネは、さっきからずっと俺の筋肉に頬ずりしている。


「サフィーネは、本当に筋肉が好きだよな?……因みに体で一番大きな筋肉は大腿四頭筋らしいよ?」


「何?」


「ほら、ここだよ?」


 俺は太ももの筋肉をサフィーネに見せてやった。


「むほぉ!♡しゃぶっても良いか?いいよな?な?」


「構わないけど?」

 

 いや、そこは違うだろ?しゃぶるとこが違うよ?


「ぺろぺろ♡むはぁ♡三本目の太もも大発見!ぺろぺろ♡ぺろぺろ♡」


「んあ♡……そこは違うって!ああ!太ももはこっち!」


「しかし、固くなっているぞ?これは、カチンカチンの筋肉に違いない!」


 サフィーネが、俺の体を触りまくるから興奮してるんだって。


 でも、この調子なら眷属解放も近いかもしれないかな?


「ねぇ……サフィーネ?俺の事は好き?」


「ん?筋肉は大好きだぞ♡もごもご♡んちゅ♡」


 うん、駄目だこいつ。そろそろ真ん中の太ももを放して欲しい。


「おお!動く!やはり筋肉だな♡」


 話題を変えてみるか?


「この領地では、やっぱり筋肉を鍛えているのか?」


「もちろんだとも!うちの領地では、筋肉騎士団と呼んでいる」


「マッスル騎士団?」


 ポーズ決めてる姿しか思いつかない……。


 強いのか弱いのか分からないな?だって鎧とか着てなさそうじゃない?


 裸でブーメランパンツをはいたボディビルダーみたいなイメージしかない。


「そう♡筋肉だけで集めた騎士団なのだ!」


 やっぱり……弱そう……。


「筋肉騎士団は、結成のためにオーディションで候補者を集めたのだ」


「もはや、アイドルだね?」


「アリマ様も入るといい♡歓迎するぞ?」


 歓迎されても困るんだけど……。


「遠慮しておくよ……」


 筋肉の話題は止めておこう。


「そういえば……この辺りで美味しい物が食べられるお店ってあるか?」


「なんだ?美味い物が食いたいのか?」


「そうだね……郷土料理とか気になるかな?やっぱり国によって食べ物って違いがあるからね?」


 スタール王国では、どんな食べ物があるのか気になってたんだよねぇ……。

 リリアスでは魚料理ばかりだったしな?


「そうだなぁ……最近はラーメンが人気だぞ?」


「はぁ?」


 なんで?ラーメン?


「なんでも国王様が、国民食としてお広めになったとか?」


 親父ぃぃいいいいい!!


「うん、ラーメンは好きだよ?」


 まさかチャーハンや餃子は無いよな?


「では用意しよう!」


 そして、用意されたのは……お湯だった。


 まさか……アレなのか?


「3分待ってくれ」


 インスタントラーメンの方かよ!まだカップじゃないけど?

 しかし、よくここまで再現したな……。恐るべし……。


 乾麺にお湯を注いで蓋をする……。ん?スープは別なのか?


「もうよいかな?そしたらお湯をすてるぞ?」


「は?」


 ラーメンじゃないのか?


「そして……用意して置いたソースと野菜を混ぜると完成だ!お好みで刻んだ肉を入れても良い」       


「いや!これラーメンか?」


「まあ、食べて見よ」


 サフィーネがウインクするので、俺は一口食べてみた。


「ん?これは……混ぜそば?」


 どうやら汁なしのラーメンのようだった。ソースに絡めて食べるタイプだ。


「どうだ?うまいだろう?」


「うまい……イメージと違ったけど」


 しかし、混ぜそばまであるとは……。スタール王国は親父の影響をかなり受けているようだな。


 サフィーネは……こんな時でも俺の腹筋に頬ずりを続けていた。


 ……これ、いつまで続くんだ? 


 

◇◇



「サフィーネ様、お風呂の準備が出来ました」


「おお!分かった。ではアリマ様。これが着替えだ」


 サフィーネは、風呂から出た後の着替えを用意してくれた。


 って、ブーメランパンツ一枚かよ!?


「案内しよう」


 サフィーネが案内してくれるというので、俺はサフィーネの後をついて行く。他の連中はどうしているだろうか?


「他の者はちゃんと歓待しておるから、安心せよ」


 安心出来ないんだが?まぁ、あいつらなら大丈夫だろうけど……。女神様がついているしな?


 俺が案内された風呂場は結構広かった。


 湯船にお湯を注いでいるのは、ライオンの顔をしていて……口からお湯が出ていた。


「すばらしい造りだな……」


「だろう?風呂には自信があるんだ。なにせ筋肉が見れるからな?」


 そっちなのか?こだわりって?


 サフィーネは、興奮しながら俺が脱ぐのを待っていた。


「はぁ……はぁ……早く脱ぐのだ」


 そんなに見られながら脱ぐのは、恥ずかしいんだけどな?


 仕方なく俺は下着を脱いで裸になると、風呂場へと移動した。


「むはぁ!いい!いいよ♡筋肉最高♡」


 ってなんで?サフィーネまで脱いでいる?


「うちも一緒に風呂に入らねば、筋肉が堪能できんからな?」


 サフィーネは、獣人だけど肌はとても綺麗だった。体には毛は生えていないのか?それよりも、サフィーネの鍛え上げられた腹筋は綺麗で、くびれが堪らない……そして……大きな胸は筋肉ではなく、柔らかい乳房で……とても綺麗だった。






あとがき


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