第37話 リリアスの結婚式



 リリルメリアに戻って来た俺は、エリス神聖国と同様に自室に転移門を設置した。

 自室なので当然部屋の中には、エリス様とエメラダがいる。

 

「順調の様じゃな婿殿」


「エリス様……そうですね」


「ですが……眷属レーダーが正常に作動するかが心配で……」


 俺の眷属はエリス神聖国と、この国にいるのでちょっと心配だ。


「それなら心配はいらんぞ?それは、わらわの眷属にしか反応しないのじゃ」

 

 なんと?眷属レーダーは、俺の眷属には反応しないらしい。


「心配であれば確認してみるのじゃ」


 俺が眷属レーダーを確認すると……南西部の方角を指していた。


 俺の眷属には反応していないので、確かに動いてはいる様だ。


「それにしても結婚式を必要とするのじゃろう?」


「次期王のお披露目でもあるので、国民に知らせるのと対外的な目的もあるようですが」


「ご主人様!結婚式ならば料理が出るのじゃろ!?」


「うん、エメラダは食べすぎるなよ?」


「心配せんでも我が残さず食べ尽くしてくれるのじゃ!」


 そっちの心配じゃないから!?食べ尽くすなよ!?


 そして準備は粛々と進み……国外からも披露宴、晩餐会に参列する為、王族や有力な貴族が臨席するらしい。エリス神聖国については、国王の俺がいるので問題はない。


 言わば今まで中立国だったリリアス教国がエリス神聖国と同盟国になった。という事になるから、周囲の国も慌てているのかもしれない。


 特にこれから訪れる予定のスタール王國は要注意だ。


 また、今回の結婚式は大々的にパレードを行うらしい。


 五人もの嫁とパレードとか……見せ物になるのは遠慮したいんだけどな……。


「式に着る服はどうするのじゃ?」


「それならエルスハイムで注文した服がそろそろ出来上がっているはずだから大丈夫だと思うよ」


 発注したっきり、そのまになっていた服がいっぱいあった筈だ。


 儀式用の服も注文していたから大丈夫だろう。


 後は魔法で飾り付けして誤魔化せばいい。


 結婚式当日は、まずは式を執り行ってからパレードを行い。その後各国首脳、有力貴族を入れての晩餐会となる手筈になっている。



◇◇



 --そして、五人の姫と俺の結婚式が始まった。


 五人が着ていたウエディングドレスは何故か……俺がレスティアに作ったゴシックロリータ調の服がベースになっていた。


 どうやらフリフリレースが気に入ったようで、スカートは地面に着きそうなほど長めに作られていた。


 ゴスロリウエディング……可愛すぎる。


「みんな可愛いよ?」


「「「「「アリマ様!」」」」」


 五人ともそれぞれ、顔が赤くなって反応が違うので見ていて飽きない。


 結婚式は神前式で執り行う事になっていて、神様の代行者ではなく、本物の神様でありエリス様が結婚の許可を行う形式となっている。


 また、5人同時では無く一人ずつ行うと言っていた。


 俺は新調したタキシードに身を包み、式の開会を待った。


 式場には一人づつ入場するらしい。


「それでは……これより、第12回教国戴冠式及び結婚式を執り行います」


 は?戴冠式?聞いてないんだけど?


「それでは、新郎の入場じゃ♡」


「新郎及び新王の入場である!」


 厳かなメロディが奏でられ、入口のドアが開いた。俺に入れと言っているらしい。

 因みに結婚式にはエリス様もいるので身内だけで行う事になっている。


 俺は一歩一歩、歩みを進めて、エリス様の立つ神前へとたどり着いた。


「それでは女神様より、お言葉をいただきます」


「それではアリマよ、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、わらわを愛し、わらわを敬い、わらわを慰め、わらわを助け、その命ある限り、わらわに尽くすことを誓うか?」


「誓います」


「ではアリマをわらわの婿と認め、ここにアリマ・エリスロードが第12代リリアス教国国王となる事を宣言するのじゃ!」


 あれ?おかしくない?


「王の冠を」


 厳かなバックミュージックが、さらに大きな音で盛り上げて来た。おいおい。 

 現王様より、俺は王の冠を頭に乗せられた。  


 盛大な拍手で、俺はリリアス教国の王となった。


「それでは、新婦の入場です」


 リハーサルでは、ここで一人づつ入ってくる練習をしていた。

 しかし、え?何故か5人揃って入ってきてしまった。


 誰が先に行くか揉めたのかもしれない。


「「「「「私が先!」」」」」


 いいから、皆来てよ?


 五人揃って入ってくるけど、その道はそんなに広くは無い。 


 仕方なく皆で手を繋いで入ってくることにしたらしく、電車みたいにつながって歩いて来た。

 一応、一号車から五号車まで順番は合っているようだった。


「それでは、第一教女様より順番にどうぞ」


「はい!」


「ラミレスよ、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、アリマを愛し、アリマを敬い、アリマを慰め、アリマを助け、その命ある限り、アリマに尽くすことを誓うか?」


「誓います!」


「では、誓いのキスを」


 俺はラミレスと軽いキスを交わした。


「次に、第二教女様どうぞ」


「は!」


「リンスレットよ、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、アリマを愛し、アリマを敬い、アリマを慰め、アリマを助け、その命ある限り、アリマに尽くすことを誓うか?」


「誓うぞ!」


「では、誓いのキスを……」


 俺はリンスレットと濃厚なキスを交わした。純情でワイルドだった。



「えっと次は、第三教女様?どうぞ?」


「はぃ……」


「レスティアよ、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、アリマを愛し、アリマを敬い、アリマを慰め、アリマを助け、その命ある限り、アリマに尽くすことを誓うか?」


「誓ぃます……」


「では、誓いのキスをして?」 


「レスティア……好きだよ?」


「ん……♡私も……好き♡」


 俺は大好きなレスティアと愛情たっぷりなキスを交わした。



「はぁ~次は、第四教女様ぁ?どうぞ?」


「はいですわ!」


「アンジェリカよ、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、アリマを愛し、アリマを敬い、アリマを慰め、アリマを助け、その命ある限り、アリマに尽くすことを誓うか?」


「当然誓うわ!」


「じゃ……もう、誓いのキスをしちゃって?」


「いいわよ?アリマ様?キスしてあげるわ?」


「アンジェ♡好きだよ?」


「ん……あん♡」


 俺はツンデレなアンジェと甘々なキスを交わした。



「ハイ最後!第五教女様?どうぞ~!」


わたくしですか?は、はい!」


「ルリアナよ、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、アリマを愛し、アリマを敬い、アリマを慰め、アリマを助け、その命ある限り、アリマに尽くすことを誓うか?」


「はい!もちろんです!誓いますよ?」


「はい、誓いのキス?出来る?キスよ?出来る?」


「で、で、で、出来ますよ?それくらい?」


「ルリアナ姫♡いい?」


「アリマ様♡はい……どうぞ」


「ん……ちゅ♡」


 俺はルリアナ姫と甘酸っぱいキスを交わした。


「それでは、改めてアリマよ、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、5人を愛し、5人を敬い、5人を慰め、5人を助け、その命ある限り、5人に真心を尽くすことを誓うか?」


「もちろん!誓います」


「ならば、この女神エリスロードの名において、アリマと五人の花嫁の婚姻をここに認めるのじゃ」


 盛大な拍手で俺達は祝福された。


 俺はリリアスの王となり、俺と5人の姫との結婚は、ここに成立したのだった。






あとがき


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