第34話 一番姫が似合うからだよ?



 アンジェを眷属解放し、5人のうちラミレス、レスティア、アンジェリカと既に3人の眷属解放が完了した。


 アンリを除けば、この国では残す所はリンスレットとルリアナ姫だけとなる。


 俺の事を一番慕ってくれているルリアナ姫を待たせ過ぎるのも可哀想だ。


 という事で、俺はルリアナ姫をデートに誘った。


 今日ルリアナ姫は学園にいるとの事なので、学園まで足を運ぶ事になった。


 レスティアにも案内されたけど、学園は広い。


 学園はこの都市の東端に位置し、学園の東側には湖しか存在しない。


 湖に囲まれたこの土地は、周りに山は見られない。ただ湖の周囲は高い山に囲まれているので、遠くに雪の積もった連山が見られる。北の方角には白い山、ドラ子がいた白竜山が遠くからでもよく見えた。


 学園の門をくぐると、右手奥が魔法演習場になっていて、左手には体育館の様な道場があった。


 真っ直ぐ正面には白磁の校舎が見えて来る。

 

 ルリアナ姫との待ち合わせ場所は、この校舎の右側に建てられているというレンガ造りの図書館だった。


 レンガには、耐火の魔法がかけられており、館内はもちろん火気厳禁だ。


 俺が図書館の重厚な耐火扉を開けて中に入ると、受付のお姉さんが出迎えてくれた。


「いらっしゃいませ。私は司書のレイテと申します」


「今日は、待ち合わせなんだ。中で待たせてもらってもいい?」


「それでは、待合室へどうぞ」


 俺は、待合室とやらに案内された。


 ただ待っているのも暇なので、図書館の本を眺めてみる事にした。


 図書館と言っても材質は色々で、動物の皮で出来たものや、植物を叩いて作ったもの、和紙のような紙と呼べるもの、新しい本になると洋紙とまではいかないけど、質の悪い紙と呼べるものとなっていた。製紙技術も少しずつ良くなって来ているようだ。


 このチグハグな発展ぶりを見ると、誰か転生者でもいるのかもしれない。


 そんな感じで本を眺めていると、息を切らしたルリアナ姫がやってきた。


「はぁ……はぁ……おま…たせしました!アリマ様!」


 この子は、いつも走ってくるね……。


 今日のルリアナ姫は、学園の制服を着ているのでとても可愛い。


「制服姿も似合っていて可愛いよ?ルリアナ姫」


「そ、そうでしょうか?アリマ様がそう言うなら、ずっと制服でいます!」


 いや、ずっとは困るよ?


 そして、ルリアナ姫とのデートは、そのまま制服デートとなった。


「ところで、ルリアナ姫。待ち合わせを図書館にしたのは意味があるの?」


わたくし!本が好きなんです!」


「へぇ……そうなんだ。いつもどういった本を読んでるの?」


「最近ですと恋愛ものとか、伝記なんかが好きですね」


「恋愛小説とかもあるの?」


「えぇ……王子同士の禁断の愛とか……」


「え?」


「隣国の王子と騎士団長の禁断の恋とか……」


 禁断の恋ばっかりだね?ルリアナ姫は腐女子だったの?


「そうなんだ?ルリアナ姫は、男の子同士の話が好きなんだね?」


「はい……こんな女の子は……お嫌いですか?」


「あはは、俺はルリアナ姫がどんな趣味だって、ルリアナ姫の事は好きだよ?」


「はい♡」


 ルリアナ姫の趣味が分かった所でルリアナ姫の手を取り、図書館の外へ出た。


「そのまま本を読んでいても良かったんだけど?」


「いえ、せっかくアリマ様に誘って頂きましたので、今日は本よりもアリマ様とのデートを楽しみたいです」


 となると、この後どこに行くかなんだけど……ルリアナ姫の体型は、年齢の違いもあるけど胸が無い。


「そう、聞きたかった事があるんだけど……ここリリアスには温泉ってあるのかな?」

「温泉ですか?」

「うん、例えば自然に沸いているお湯とか?地下深く掘ったらお湯が出て来たとか、そんな感じで沸かさなくても入れるお風呂って言えば分かるかな?」


 温泉があれば、ルリアナ姫を誘っていってみようと思ったんだけどね。


「それなら、レノールには温泉がありますけど」

「レノール?でも湖の外側の町だから、国外だよね?」


「それなら、レノールのお湯を使ったお風呂屋さんがありますよ?もちろんプライベートを重視した個室風呂です」


 個室風呂なら人目も気にせず入れるな。ルリアナ姫ならつるペタだし大丈夫だろう。


「ちょうど温泉に入りたかったんだ。行ってみようか?」


 俺はルリアナと手を繋いだまま、そのお風呂屋さんへと向かった。


 学園を出て、制服デートのまま町を歩く。

 生まれて初めての制服デートに俺は感動していた。

 この世界に来るまでに彼女などいなかった俺は、制服でデートした経験などなかったからだ。


 ルリアナ姫は、彼女ではなく婚約者となるけど……婚約者だって彼女のようなものだろう。


 俺はルリアナ姫と他愛のない話をしながらデートを楽しんだ。


「ここです」


 お風呂屋さんに着くと、店主にお金を払い部屋の鍵を受け取った。

 プライベート温泉という事で一部屋ごとに分かれているようだ。

 あと、時間制になっているとの事で大きな砂時計を渡された。

 この砂が落ちきったら終了という事なのだろう。


 ようするには時間制の温泉付き休憩所だ。


 鍵を開け、部屋に入ると部屋の奥には温泉の湯舟があり、手前には大きなベッドが置いてあった。


 あれ?なんでベッドがあるの?


 温泉で疲れたらベッドで休憩出来るのか?


「わぁ、初めて入りましたけどこんな感じだったんですね?ベッドは何に使うのでしょう?」


「と。とにかくまずは、お風呂に入ろうか?」


「はい♡」


 俺は服を脱ぎ、風呂に入ろうとすると、ルリアナ姫に止められた。


「あの……脱がせてください」


 え?脱がせてください? 


「いいけど?いいの?」


 何故か俺は、ルリアナ姫の制服を脱がすことになってしまった。


 俺は、早く温泉に入りたかったので、ルリアナ姫の制服をさっさと脱がしてあげてから湯船につかった。


「ふぅ……気持ちいいな……ちょうどいい湯加減だ」


「はぁ……そうですねぇ……気持ちいいですね」


 ルリアナ姫は裸になっても、特に胸は無いので違和感はない。


 部屋に備え付けられていた温泉は、家族風呂くらいの広さで、二人で入ると足が交差するくらいに近い。


「ルリアナ?」

「は、はい!」


 ルリアナ姫の顔と俺の顔は触れ合うくらい近くて、体は密着していた。


 当然のこと俺達は、そのままキスをした。


「ん……んは♡……アリマ様……わたくしはアリマ様が大好きです♡」


「俺もだよ?ルリアナ姫♡」

「その……どうしてわたくしの名前だけ、姫を付けるのですか?」


「嫌だった?」


「いえ……嬉しかったです♡」

「ルリアナは、一番姫が似合うからだよ?」

「んふふ……そんなに似合いますか?嬉しいです♡」


 ルリアナ姫は頬を染めて、両手で顔を挟んで目を潤ませていた。


「ふむ……今日はこのまま眷属解放しようか?」

「え?いいんですか?」

「ちょうど、お互い裸になっているしね?」


「はい♡おねがいします♡」


「解放術式……オープン♡」


「あ……ん♡……アリマ様♡んん♡はぁぁ♡大好きです!んんんはぁ♡」


「ルリアナ姫♡可愛いよ♡大丈夫?」


「はい……大丈夫です♡……ん♡……いいですよ?……んあああ♡」


「いくよ?眷属解放!」


「んん♡ああん♡……あん♡……ああん♡……いい♡……んん!ああああああ!!」


「アリマ様ぁああああ!……なんですか?暖かいのが……アリマ様の力ですか?……なにか来ます……力が……入って……んあああああ……来る……もう溢れて……んああああ!!」


「ルリ!好きだよ、ルリ!」


「私もです!アリマ様ぁ♡ああ♡あああ♡んん♡……♡あああああああああああああああああ……!!」

 



 ……温泉の中でのルリアナ姫の眷属解放は無事終了し、砂時計の落ちきる時間になるまで二人でベッドで休むことになった。






あとがき


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