第33話 恋する乙女は欲張りですのよ?




 リンスレットとデートした次の日、俺はアンジェリカの予定を聞いて事前にアンジェの予約をしてあった。


 リンスレットには、眷属解放まで時間がかかりそうと言うのもあったけど、早く可愛いアンジェとデートしたかったという想いもあった。


 リンスレットには、もう少し考える時間が必要だろうし、俺の事を好きになって貰うには、少し引いてみるのも良いかもしれない。


 今頃は俺のことを考えて、悶々としているかもしれないけど……。


 さて、アンジェはツンデレ属性で既に俺にデレているため、眷属解放まで出来てしまう状況にあるけど、それでは面白く無い。


 だから今日はアンジェと遊ぼうと思う。


 4と書かれたアンジェの部屋の前で、俺は深呼吸をした。可愛いアンジェに会うのだ。緊張しない方がおかしい。


「よし……」


 コンコン!


「アンジェいるかい?」


「いるわよ?ちょっと待って」


 アンジェはカギを開けて俺を部屋に入れてくれた。


「綺麗な部屋だね」


「褒めるのは部屋だけかしら?」


「もちろんアンジェも綺麗だよ?そのドレスもよく似合っているよ」


「ふふん!どう?アリマ様が私を予約されるから……時間をかけて選んだんですのよ?」


 アンジェはそう言うと、クルッと回って見せた。若草色のヒラヒラのスカートがフワッと舞って、可愛いピンクの下着が見えた。


 うん、下着も可愛いよ?


 アンジェは何を着ても似合うと思う。


 でも、アンジェには、ゴスロリが一番似合う気がする。是非アンジェにはゴスロリを着せてみたい。


「アンジェ、服屋に行かないか?」


 今日のデートコースは、服屋を回る事にした。


「では、私が良くいく服屋さんに行きましょう?」



◇◇



 俺は、アンジェの知っている服屋を一通り案内してもらった。


「どうです?デザインとかは、いつも着ている感じですわよ?」

 

「デザインは良いんだけど、求めてる感じでは無いんだよね」


「では、仕立て屋さんに行きますわよ?」


 しかし、アンジェに着せたい目的の服は見つからず。仕立て屋に頼む事になった。

 仕立て屋さんは、服屋の並びの片隅にあった。こじんまりとした小さい店だけど大丈夫かな?


「どうも、お仕立てですかな?」


 仕立て屋の主人は、気さくな感じで人当たりは良さそうだ。


「こんな服が作りたいのですが?」


「どれどれ?ほう……ふむ……これはレースですかな?」


「そうです、白いレースと黒のレースそれと黒い生地と白生地を使います」


 俺の手書きの絵と説明で伝わったかどうか怪しいけど、アンジェには是非着てもらいたいので頑張った。


「イメージが掴めれば良いのですがね?」


 魔法で模型まで作って模型にゴスロリ服を魔法で着せて説明したら、やっと理解してくれたよ。


「ほう、なるほど、ここがこうなって……ほう素晴らしい」


 あれ?魔法で作った方が早く無い?



◇◇



 結局俺が魔法で服を作った方が早かったので、俺がゴスロリ風ドレスを作ってアンジェにプレゼントする事になった。


 糸と生地を買って、いったんアンジェの部屋に戻って魔法の準備をする。


 アンジェの体をイメージして黒と白の糸を紡いでいく、白のレースを編み込んでいき、同じように黒のレースも作っていく。


 布を合わせて俺のイメージするゴスロリ調のドレスを形にしていった。


 アンジェ本人の体は直接使えないので、アンジェの模型に着せていく。


 脱がせるように、ボタンやファスナーをつけるのも忘れない。


 実はファスナーは売っていないので俺のお手製だ。


「完成だ……」


 何とか形にはなった。欠かせないアイテムの黒地に白いレースのゴスロリカチューシャも作った。金髪のツインテールにはよく似合うはずだ。


「凄いですわ!とっても可愛いドレスですわ!」


「アンジェのために作ってみたよ?ぜひ着てみてほしい」


「もちろんですわ!」


 アンジェは俺のために選んでくれたドレスを脱ぎ始めた。


「レディの着替えは高く付きますわよ?」


 アンジェは脱ぐのを止めて、俺の目を下から覗きこむように見つめて来た。


「いやごめん、もちろん綺麗なアンジェに見惚れていたんだよ?」


「まぁ……では、今日は私だけのアリマ様でいてくださいます?」


 脱ぎかけのアンジェは、俺に縋り付くようにペタっと身体を寄せて来た。


「分かったよ?でも今日のアンジェは随分と欲張りじゃないか?」


「うふふ……恋する乙女は欲張りですのよ?」


 アンジェの顔が俺の顔に近づいてくる。もう我慢できないかも?


 アンジェの顔が俺の顔と重なった。


「ん……ちゅ♡」


「私の着替え♡見ててくださる?」


 そう言うとアンジェは、脱ぎかけのドレスを脱ぎ去って、ピンクの下着姿になった。


「アリマ様ぁ♡」


 そのままアンジェは、下着姿のまま抱き着いて来たけど、まだ着替えの途中だ。


「アンジェ♡嬉しいけど、折角作ったドレスなんだ。着てくれないか?」


「それじゃ……アリマ様が着せて下さる?」


 着せて下さる?俺が着せるのか?いいの?着せちゃうよ?


「ああ、分かった」


 俺が作成したゴスロリ服を模型から脱がせて、アンジェに同じように着せて行くと、流石模型に着せただけあって、アンジェの体型にピッタリと合うように仕上がっていた。きつくならないように余裕を持たせてあったので、フリフリレースのゴシックロリータ風アンジェリカが完成した。


 金髪にゴスロリカチューシャが良く似合う。めっちゃ可愛い!


「アンジェ!似合うよ!すっごく可愛い!大好きだ!アンジェ!」


「あん!アリマ様ぁ♡私にも見せて下さいませ!」


 俺は鏡をアンジェの前に持ってきて姿を見せてやると、気に入ったのかすごく喜んでくれた。


「このドレス、なんて可愛いのかしら?この可愛い私がさらに可愛くなっているわ?」


「だろ?俺は、絶対似合うと思ったんだ。アンジェにはこの服が似合うって」


「アリマ様ぁ♡こんな素敵なドレスを作ってくださるなんて、私……♡」


「アンジェには、可愛いドレスが良く似合うよ」


「私、アリマ様が大好きですわ♡」


 俺はアンジェのピンクの柔らかな唇を優しく塞いだ。


「うん♡……んん♡……んちゅ♡……ちゅ♡……んはぁ♡」


「アンジェ?好きだよ♡このまま眷属解放しちゃおうか?」


「いい♡……ですわよ?」


 俺はせっかく着せたドレスを今度は脱がしていく。


「あ……」


「シワになるから、畳んでおくよ?」


 ピンクの下着に手を掛けると、少しの抵抗があった。


「は、恥ずかしいですわ……」


 アンジェのツインテールがフリフリと揺れていた。


「大丈夫♡綺麗だよアンジェ♡」


 俺はアンジェにキスをしながら下着を脱がせていった。


「んん♡……んあん♡……んんん!……そこ!んんん♡ああ♡」


「アンジェ♡可愛いアンジェ♡好きだよ♡」


「アリマ様ぁ♡私も……大好きですわ♡」


 アンジェの顔はすでに紅潮していて、綺麗な青い目も俺を見つめて準備は大丈夫のようだ。


「解放術式……オープン♡」


「んあ♡……あああ、アリマ様ぁ♡……なんですの?んあ……これは……んああああ♡アリマ様ぁ♡……アリマ様ぁ♡……あああ♡」


 アンジェ可愛いよ♡アンジェ♡


「アンジェ♡大好きだよ♡愛してる♡」

「私も♡大好きですわぁ♡……んはぁ♡……あああああ!」


「行くよ?眷属解放!」


「えええ?ああ!んん!んはぁ♡……ああ……あ!いい♡いい!うん♡ん、あああ♡……んあああああああああああああ!!」


「アンジェ!アンジェ!」


「アリマ様ぁ!ああ、ああ……なんか……来ますわ♡……これは……アリマ様のお力ですの?……ああああ……入って……きますわ♡……んああああ……力が……溢れて……きますのぉ!!!」


「はぁ……はぁ……アンジェ大丈夫か?」


「もう……だめですわ……んん♡……あん♡……ああ、あん♡……んああああああああああああああああああああ!!」



 ……アンジェの眷属解放はゴスロリ風のドレスのお陰で難なく無事に終了した。



 また、後日……俺が作ったゴスロリ服を仕立て屋が複製し、城内で流行り出したのはまた別の話となる。






あとがき


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