第31話 どうしようもなく大好きなんです




 アンリは学校の空き教室で寝泊まりしているというので、俺はアンリを連れて帰ることにした。


 さすがに空き教室は無いだろう?ということでアンリを風呂に入れることにしたのだ。

 学校にはお風呂が無いので、シャワーで済ませていたというので仕方なくだが、眷属と王族しか入れないという俺達の滞在している部屋に連れ帰ると、早速エリス様に捕まった。


「なんじゃ?その娘は?」


「エリス様!この子はアンリといって学校で見つけたんです。アンリは多分この国では一番眷属の才能があるみたいで、大きな亜神の欠片をもっているんです。それに俺の嫁になりたいと……」


「ほう、どれ見せてみるがよい」


 エリス様がアンリの残念な左胸に手を当てると……すぅっとエリス様のお力が見えたような気がした。


「あ……んん」


「たしかに、これほど眷属に向いた人材はなかなかおらんじゃろうな」


「そうなんですよ、エリス様!だからこちらで面倒を見てあげようと思うのですが……」


 エリス様はにっこり笑って。久々に聞いた言葉を紡いだ。


「ギルティじゃ!」


 エリス様?たしかに眷属でない人物を入れてしまって、嫁になりたいと言ってしまったのは失言ですが、ああどうすれば?


「えっと……エリス様?申し訳ございません」


「最近眷属が増えて、慢心しておるのではないかの?」


「もう、6人となったであろう?7人揃えばわらわと並ぶことになるじゃろう」

「そのようなことは……」


「じゃから、わらわも眷属を一人増やすことにしたのじゃ」


「は?」


「紹介するのじゃ、わらわの新たな眷属!アンリじゃ!」


「「ええええええええええええええ!?」」


 いや、アンリ本人も驚いていた。まさかエリス様本人の眷属に指名されるなんて、エリス様の眷属は俺が最後だったから、俺の後輩にあたるのか?


「あの、それで眷属とは、なんですか?」


 アンリには説明が必要のようだ。


わらわは女神エリスロードじゃ!隣にいるのは、旦那様のアリマじゃ♡」


「え?エリスロードって女神様?それに旦那様?」


 アンリは混乱している。


「俺はアリマ・エリスロード。エリス様の婿であり、エリス様の眷属の一人だ。使徒とも呼ばれているよ?」


「はぁ……アリマは……いえ、アリマ様は王様だけでなく、エリスロード様の使徒様だったのね?どおりで強い訳だわ。あたし、神様相手にしてたのね?」


「アンリは、女神エリスロード様の眷属として任命されたという事だよ。俺もエリスロード様の眷属だから、アンリは俺の後輩ということになる」


「そうなんですね?ありがとうございます!エリスロード様!」


「そうじゃの、わらわが力を与えたのじゃ。わらわの為に励むがよいぞ?」


「はい!がんばります!」


 アンリは嬉しそうだ。全開の笑顔で喜びをかみしめているようだ。


「それと、眷属同士の結婚は許可しているのじゃ。そっちも励むとよい」


「え?でも、旦那様ではないのですか?」


「良いのじゃ、妾の眷属は、妾と同じ存在となるのじゃ」


 アンリの眷属解放を行えば、アンリはさらに強くなれるし、俺の嫁にもなる。


「許可頂けるのなら、頑張ります!ありがとうございます。エリスロード様!」


 となると、アンリの部屋をどうするか決めないといけない。


 リリムとパーラ、プリステラとパチェッタは眷属解放済なので、リリムとパーラは同じ部屋にしてもらって、空いた部屋に新たな眷属のアンリに入ってもらった。

 部屋を移ったパーラには申し訳ないけど、俺だって同じ部屋にエリス様とエメラダの二人の女神と破壊神(自称)がいるのだから我慢して欲しい。



◇◇



 アンリの件が片付いたので、次の眷属解放に移りたいけど、候補としては一人増えて5人いる。


 第一教女のラミレスに、第二教女のリンスレット、第四教女のアンジェリカに、第五教女のルリアナ姫、それに新しくエリス様の眷属に加わったアンリの5人だ。


 レスティアの解放を行ったばかりで、まだ5人もいるとなると選ぶのも大変だ。


 それに新しく眷属を探しに行くにしても、こっちの五人を片付けてからでないと移動も出来ない。


 アンジェとルリアナ姫は、まだリリアス魔法学園に通っている年齢だから……俺は順当に上から攻めていくことにした。



 俺は、ラミレスをデートに誘うことにした。


 ラミレスは20歳と大人なので、城で公務の仕事を手伝っていると聞いている。

 

 俺は年齢で差別はしない。ティナ姫は22歳だし、ミル姫は20歳だ。あれ?この二人は眷属じゃなかったな?


 まぁいい……。


 俺がラミレスを訪ねると、ラミレスは書類に目を通していた。赤くて長い綺麗な髪は頭の上で纏めてあった。


「……お邪魔します?」


「あら、アリマ様。もう少しで終わりますので、少し待ってていただけますか?」

 

「仕事中に悪かったね?」


 俺はラミレスが終えるのを少し待つことにした。こうしてラミレスを眺めていると、顔はとても整っていて、俺の一押しのレスティアにもよく似た美人だった。


 俺が好みだと言ったのも嘘ではない。俺はラミレスのような美人のお姉さんが大好きだからだ。


 レスティアみたいな美少女が大きくなったらラミレスのような綺麗な人になるのかもしれない。


「お待たせしました。アリマ様」


 ラミレスの仕事が終わったようだ。書類は纏められ、ラミレスは俺の顔を見て微笑んでいた。


「ううん。仕事の方が大事だしね?」


「今、紅茶を入れますね?」


「ありがとう。ラミレス」


 ラミレスといると、なんか安心するなぁ。前世の会社のお姉さんを思い出す。


 あの会社はブラックだったけど、会社の経理のお姉さんだけは優しかった。


 なんて感傷に浸っていると……ラミレスが紅茶を入れてきてくれた。ここは執務室なのか給湯設備も整っているようだ。


「どうぞ……高級品ではございませんが……この国で取れる茶葉を使用しております」


「うん、ありがとう」


 紅茶というので一口飲んでみたけど、味は緑茶に近い。香りもあるけど味は苦みの方が強かった。


「お口に合いませんでしたか?」


「いや、これは美味しいよ。俺の故郷の味に近い」


 これなら餡子とか、和菓子が合うかもしれない。


「それは良かったです。気に入られたのならお持ちしますよ?」


「それは助かる。お願いしようかな?」


「それでは、あとで用意しますね?」


「ラミレス……ありがとう、今日来たのはその、眷属解放について説明をしに来たんだ」


 ラミレスは、空気が変わったのを感じたのか、その黒い目でしっかりと見つめて来た。


「それで、何か問題が?」


「眷属解放するには、ラミレスが俺の事を本気で好きになっていないと成功しないんだ」


「……そうですか」


「ラミレスには、何か負い目があって、本気になれていないんじゃないかと思ってね?」


「……アリマ様には隠せませんね」


「気になっている事があるなら言って欲しいんだ」


 ラミレスが俺との婚約の話を、本気で受け取っていない事は分かっていた。


 ……どうか貰って頂けないでしょうか?って言っている時点で、もう諦めている人の言葉だ。


「私は一番上の姉です。世間では15歳までに婚約者がいて、16歳には結婚をするのが王族としての務めのはずでした。でも、私は選べなかった。他国の嫁としてこの国を出る事もしませんでした」


「それは、ラミレス。貴方のやさしさあってのものだと思うよ?婚約や結婚をしてしまうと妹たちとの権力争いに巻き込まれる。そう思ったから結婚を望まなかった。違うかな?」


「そう、……かもしれません」


「それに、ラミレスは妹4人と同じ人と結婚する事に、自分はおまけだと思っていない?自分はお情けで結婚出来るとでも思っていないか?自分は愛されないとでも思っていない?」


「それは…………」


「俺はラミレスが好みだと言ったよね?俺は本気でラミレスが好きなんだよ?」


「え?そんな……え?私はもう20歳ですよ?」


「愛に年齢は関係ないよ?俺はラミレスだから好きなんだ」


「でも……」


「妹に悪いって思ってる?俺はそんな謙虚なラミレスだからこそ、好きになったんだ」


「いいんでしょうか?」


 ラミレスの顔がほんのりと赤みがかってきたようだ。ラミレスは今まで妹達に遠慮した人生を送ってきている。それを取り払ってあげればラミレスはもっと素敵になれるはずだ。


「好きになってもいいんだよ?ラミレス♡」


「ああ……アリマ様!好きです!一目見た時から!好きでした!!ルリアナを助けて頂いた方がこんな素敵な人だなんて思っても見なくて、……でも、ルリアナに申し訳なくて……ルリアナが好きになった人を好きになるなんて……もうしわけなくって……アリマ様が好きです……どうしようもなく大好きなんです………」


 ラミレスは綺麗な黒い瞳に涙を貯めて、激白した。


「ラミレス……言ってくれてありがとう。俺もラミレスが大好きだ」


 俺はラミレスを優しく抱きしめると、ラミレスの柔らかいピンクの唇にキスをした。


「んん♡……んああ♡んちゅ♡……ちゅう♡……ちゅ♡……んはぁ♡……」


 これなら眷属解放は確実に成功するだろう。ここは執務室だから場所を移動しなければならない。


「ラミレス?君の部屋に行こうか?」


「……はい♡アリマ様♡」



◇◇



 俺はラミレスに案内され、ラミレスの自室までやってきた。さっきの執務室とは違い、天蓋付きのベッドが置かれている。


「ラミレス、これから眷属解放を行うよ?いい?これは結婚の儀と同じ効力があるんだ」


 ラミレスはとても緊張しているようだ。体が硬くなっている。


「はい……大丈夫です。あれをするのですね?」


 ラミレスはレスティアの眷属解放を見ているので、これから何をするのか理解しているのだろう。

 俺はラミレスの着ている黒のドレスを優しく脱がしていった。


 下着を外すと、ラミレスの綺麗なお椀型の胸が出て来た。あの時の感触を思い出すと下半身に力が漲ってくる。

 

「……下も脱ぎますか?」


 俺が肯定の意を告げると、ラミレスは自分で下着を脱いで、着ていた服を畳んでその上に置いた。


「あの……あんまり見られると恥ずかしいです……」


「綺麗だよ♡ラミレス♡隠さないで?」


 ラミレスは胸と下を隠していた手を、恥じらいの顔を耳まで赤く染めながら外した。

「ああ……アリマ様ぁ♡」


「素敵だラミレス……大好きだよ……解放術式……オープン♡」


「んああ!アリマ様ぁあ!私も!アリマ様がぁあ!大好きですぅぅ!……んん♡ああ♡……いい……あん♡……んはぁ♡んああああ!!」


「ラミラス……準備は……出来てるかな?………大丈夫?」


「あん!……はい!大丈夫♡……です♡……んはぁ♡……アリマ様ぁ♡好きです♡……来てください!……いつでも……んああああ♡」 


「行くよ?眷属解放!」


「……んん♡ああああん♡ん……いいっ!いいの♡……んんっ♡んんあぁ♡……んはぁ♡んはあああああああ!!」


「あああ♡……なんか………温かいものが……アリマ様の力が……感じます……アリマ様のお力が……私の中に……入って……ああん……力が溢れて……溢れちゃう!ああああああ♡」


「ラミレス!好きだ!」


「んんああ♡んくっ……あん♡んっ、あっ♡あっ♡あっ♡んんあああああああああああああああああああああああ!!!」


 

 ……こうして、心配していたラミレスの眷属解放は無事に終了したのだった。






あとがき


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