第30話 あんたの嫁にでも何でもなってあげるわ!

 

 


 俺には5人の眷属が増えたので、マリ姫も入れて俺の眷属は一気に6人となった。


 5人はミル姫のように巨乳では無かったのが良かったのか。エリス様からの許可が出ていた。そう考えるとティナ姫も胸は同じくらいだから、そのうち……まさかね?


 でも、ティナ姫は護衛で俺に同行しているという事は……可能性は無くは無いか?


 四人の眷属化を行ったけどまだ解放するには早いし、アンジェとルリアナ姫ならば解放出来そうだけど。年齢的に14歳と12歳だからちょっと悩む所でもある。


 因みにマリ姫は15歳だった。

 

 レスティアは眷属解放したことにより、俺の婚約者から女神様から見たら既に結婚している事になっている。だけど人間の世間一般的にはまだ婚約者なので結婚式までは一緒にはなれない。


 かといって、レスティアをそのまま放って置くことも出来ない。



◇◇

 


 俺は、レスティアをデートに誘った。


 レスティアは、学校は卒業していると聞いているので、いつでも会いに行ける。


「おはよう。レスティア……今日も綺麗だよ」


「あの……おはよう……ございます……/////」


 社交辞令じゃ無いんだけど、本当にレスティアは可愛い。顔を赤くして俯いて目を逸らしながらモジモジしている所も可愛い。


「今日はレスティアと出かけたいんだけど……生憎俺はこの国というかこの都市に詳しく無い。何かお勧めの場所とか無いかな?」


 俺はレスティアにお勧めのデートスポットを聞いてみた。


「私が……知っているのは……学校くらいです……」

「学校?」

「はい……」


 どうやらこの国では学校制度が有るらしい。

 そういえばレスティアは卒業していると言っていたな。


 レスティアの話によると、この都市リリルメリアの東側には学園区と呼ばれる地域があって、王族もそこに通っているそうだ。

 但し、入学条件はとても厳しく、亜神の欠片をもつものしか入れないと言う。


 それって、ほとんどの一般人は入れないんじゃ無い?学校の意味あるの?


 なるほど……となると……そこの生徒は全員が俺の眷属になれる資質があると言うことになる……のか?


 ……いや!そんなに増やすつもりはないよ?男の子がいる可能性だってあるじゃ無いか?


 え?いるの?


 いるらしい……。俺にその趣味はないよ?


 という訳で、俺はレスティアと一緒に学校とやらにやってきた。


 学校の敷地は広く、東京ドーム何杯分とかで数えられそうだった。


 そしてその学舎は、城にも劣らない大きさを誇っていた。


 そんなに学校ばかり大きくして生徒は、いるんだろうか?


 もし、生徒がたくさん集まっているのだとしたら、この学校は眷属に近いものを集めるために作られて、ちゃんと機能しているということになる。入学条件が厳しいのもそういう理由からかもしれない。


「案内……します……」


「ありがとうレスティア」


 レスティアに案内され、俺は学校の門をくぐった。門にはリリアス魔法学園と書かれていた。


「……魔法学園か」


「ここでは、えっと……魔法の……使い方を……学びます……」


「レスティアは卒業生なんだよね?」


「はぃ……」


 それから俺はレスティアと手を繋ぎ、校内を散策した。


 すると、闘技場のようなものが見えて来た、校内にあるという事は模擬戦でもする場所なのかな?


「ここは、魔法演習場……です」


「へぇ……」


 魔法というだけあって演習場の周囲には、強い結界が張られてあって、周囲に影響が無いような造りになっていた。


 でも、この結界じゃちょっと眷属の魔法には耐えきれないな。


 多分、眷属解放したレスティアの魔法力は、すでに人間の限界を超えている。


 五等分しても、その力は人間の枠を超えているから。それが神の眷属という亜神の力というものだった。


 演習場を見学しながら歩いていると、ここの生徒とみられる女生徒がこちらへ歩いてきた。


「あ、レスティア先輩!ごきげんよう?」


 随分と元気な女の子のようだ。知り合いなのかな?

 

「えっと……久しぶり?」

「レスティアこちらは?」


 俺は気になったので、元気な女の子の名前をレスティアに尋ねてみた。


「後輩の……アンリちゃん」


 アンリと呼ばれた少女は、ハチミツ色した綺麗な髪をしていて……左目には眼帯をした美少女だった。


 レスティアは、今年卒業したばかりなので、レスティアを慕っている後輩がまだ学校にいても不思議では無い。


「レスティア先輩?そちらの殿方はどちら様ですか?」


「私の……婚約者……次の王様です」


「にぇええええええ!?」


 えっと、別にこの国の王様では無いんだけど?俺は隣の国の王だけど。でも5人と結婚したらそうなるのか……。


「あ、どうも……レスティアの婚約者のアリマです」


「お……王様って言っても、あと姫は4人いるでしょ?」


「あそれなら大丈夫。5人全員俺の婚約者だから?あと、俺はエリス神聖国の王でもあるよ?」


「ええええええええええええええええ!?」


 あれ?これって言って良かったんだっけ?


 まぁ……いいか?


「なんて……優良物件……いえ、なんて奴なの?5人とも射止めるなんて……」


「いや……何というか」


「わたしは認めないから!」


「え?」


「勝負よ!アリマ!私が勝ったら、婚約は無かったことにしてもらうわ!」


 そんな無茶な……。どうしてもアンリは俺と勝負がしたいらしい。


「アンリが負けたら?」


「あたしが負けたら、あんたの嫁にでも何でもなってあげるわ!」


 うわぁ嬉しいなぁ。多分勝っても、代わりにわたしと結婚なさいとか言って来そう。


 俺がその勝負を受ける意味は無いんだけど……?


「いいよ?……受けて……あげる」


 って、レスティアが許可しちゃったよ?どうするの?


 俺は仕方なく、いや本当に仕方なく、アンリの勝負を受ける事にした。



◇◇



 魔法演習場で本気を出すとやばいので、かなり手加減せざるを得ない。俺は既に神に匹敵する力を得ているから本当に手加減しないと大変なことになる。


 もちろん、アンリに勝ち目など無いんだけど、それを言っては可哀想だ。


「それでは……私が審判を……務める、から……」


「私の力を甘く見ない事ね!これでも私は100年に一人と言われている使い手なのよ?」


 アンリは随分と自信があるようだ。多分亜神の欠片の大きさがアンリの場合大きいのだろう。もしかしたら王家よりも強いかもしれない。


「あはは……お手柔らかにお願いするよ?」

 

「はじめ!」


 早速アンリが仕掛けてきた。


「先手必勝!炎弾丸ファイアーブレット!!」


 ふーん……炎系の中級魔法か、やるじゃないか。俺は上級魔法も使えるけど、広範囲の攻撃魔法なので試合向きでは無い。


 俺は炎弾丸ファイアーブレットを片手で受け取るとそのまま握りつぶした。


 プシューゥゥゥ!と音を立ててアンリの放った魔法は消えていった。


「ウソ……」


 アンリは信じられないと言った顔で口を開けて固まっていた。


「来ないならこっちから行くよ?」


 俺は右手を高く上げ、初級魔法の炎球ファイアーボールを練り上げる。


「ちょ、何よその大きさ!?この学校ごと吹き飛ばす気!?」


 あれ?おかしいな手加減してるんだけど?


「ダメ!撃たないで!ごめんなさい!私が悪かったから!もう止めて!死んじゃう!もう私の心も体も全部あげるから!結婚してあげるから!お願いだから!やめてええええええ!!!」


「そこまで!勝者、アリマ様」


 俺は大きくなった炎球ファイアーボールを消すと、アンリの所に歩み寄って手を差し出した。


 アンリは腰が抜けて立てないようで、そのままお姫様抱っこをして、近くのベンチまで運んであげた。


「アンリだっけ?アンリは強いけど……まだ成長の余地はあると思うよ?」


「もう、アンタが規格外過ぎるのよ!?負けたのは初めてよ……」


 まぁ……相手が悪かったね?


 アンリは強かった。眷属を除けば、多分今まで会った中でも上位に位置するくらいの強さだ。それに、美少女だった。今のうちに俺の元に置いておきたい人材だ。しかも、大きめの亜神の欠片持ちともなれば眷属化も可能だ。


「アンリ、結婚してあげるって言ってたよね?それで、……うちに来ないか?」


「え?……本当ですか?え? え?玉の輿ですか?」


「うちにくれば、多分、君はもっと強くなれる。君の才能が欲しいんだよ」


「あ……はい……喜んで」


 アンリは、ぼーっと俺の顔を見つめて顔を赤くしていた。






あとがき


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