第23話 巨乳で大人の美人なのじゃ



 パーラを眷属解放した翌日。俺達一行は一つの部屋、俺とエリス様が滞在している部屋に集合していた。



 昨日俺は、リリアス教国の王様セーグリッドから5人の娘を託された。


 流石に一度に5人は多い。普通であればここは遠慮したい所だけど……。 


 エリス様はこの国が欲しいと言うし、さらには俺に眷属を作れという始末。


 天罰はどこに行ったのやらなのだ、そもそもエリス様はいつまで付いてくるつもりなのだろうか?


 まぁ……それは置いておいて。



「俺はこの話……受けようと思う」


「ええ?5人もいるんだよ?その中に好きな人はいるの?ボクの事はどうなるの?」


 リリムが心配するのも無理はない。5人の中で好きな人はいるか?と聞かれたら今はいないとしか言えない。

 

 政略結婚にしても、今は婚約という手段を取るしかないだろう。


「まぁ時間はあるのじゃ。一人ずつでも相手してみる事じゃ」


 まぁ……今の時点で俺が浮気をしたわけでもないし、眷属化しなければ結婚も出来ない。



「後は、この国に封印されている悪魔をどうするかか……」


 その昔、この国リリアスの地は悪魔に襲われたそうで……その時の悪魔がこの地に封印されているらしい。という話を実は王様から聞かされていたのだ。


 封印の地はここから北に行った所、島の北部に当たる場所という事だ。


 また、封印の地は立ち入り禁止区域に指定されていて普段は誰も入ることが出来ないとのことだった。



 その封印された悪魔とやらも俺達が行けば過剰戦力になるだろうし、ちゃっちゃと片づけてくるか?



◇◇



 と、言う訳で……取りあえず俺達は、島の北部にある封印の地にあるという神殿に行ってみることにした。

 

 戦わないマリ姫やティナ姫、マーニャ、パチェ達は留守番だ。



 神殿までは俺の飛行魔法と、ドラ子に乗って行くことにした。


 城を出て北へ向かう、当然空の上だ。


 上空へ行き過ぎると、この国を守る結界があるので……低空を用心しながら飛んで行く。


 途中進入禁止の結界に阻まれたけど……一瞬で結界に穴をあけて中へと進入した。

 もちろん、穴を修復しておくのも忘れない。あとで結界が無かったから襲撃されたとか侵入されたとか言われたくないしね。


 

 進入禁止結界を抜けると遠くに黒い神殿が見えてきた。なんか禍々しい姿に見えてくる。


「あの神殿が封印の神殿かな?」


「そのようじゃな」


 封印の神殿と呼ばれる神殿は……普通の白い神殿を黒くべた塗りしたような……何もかもが黒で出来ていた。


 黒……光を吸収する色だ。


「魔力に満ち溢れておるのう。あの黒色は魔力の色じゃ。元は白い神殿だったのじゃろう」


 ……という事は、あの色は魔力を吸収して黒く染まっているのか?


 あそこに封印されている悪魔は、とてつもない魔力の持ち主だったという事か?


「アリマさん……あたし怖いです」


「プリステラ……別に行かなくても待ってていいんだぞ?俺一人でも大丈夫だ」


「折角、アリマさんに解放して頂いたのに……お役に立てなくて情けないです」


「その気持ちだけでも……ありがたく頂戴するよ」


 プリステラはあの魔力に尻込みしているようだ。本来プリステラは戦闘向きでは無いのかもしれない。アイドルだもんな?


「俺が先頭で行く、リリムとパーラは俺のサポートに。ドラ子はエリス様とプリステラの護衛に回ってくれ」

「「はい!」」「任せるのじゃ!」


「プリステラは無理しなくていいからね」


 くれぐれもエリス様を怒らせないようにお願いするよ……。


「はい!アリマさん!」


 さて、いよいよ神殿へ突入だ。鬼が出るか蛇が出るか……分からないが行ってみようか。



 神殿の扉を潜ると、中は暗くダンジョンでは無さそうだ。照明の魔法を使い周囲を照らすようにした。奥を照らすと……神殿の奥に神の像が飾られているのが見えた。


「あれは……」


「あの像は何でしょう?エリス様?」


「見た通りの神の像じゃ?」


「え?だって神はエリス様ですよね?」


 あの神の像はどう見てもエリス様には見えなかった。だってあの女神像には、大きなおっぱいがあって……身長も高く……ロリでは無かったからだ。


「神の世界にも色々あるのじゃ……あれはわらわでは無い」


 なんかエリス様は不機嫌なご様子。あまり藪蛇はつつきたくない。


「では……先に進みましょうか」


 封印というくらいだから多分……最奥に目的地があるに違いない。


 ……と思っていたんだけど。どの扉を開けても地下道や奥へ続く道などは発見出来なかった。


 今回もダンジョンは無かったかぁ。


「さて何もないな」


 あらかた探し終わって神の像の前に戻って来た時だった。それが話しかけてきたのは……。


「クックっク!どこを探しておる。馬鹿者殿が……いい加減、待ちくたびれたゾ」


「誰だ!」


 話かけてきたのは……あの神の像だった。神の像の目は赤く光り、俺達を睥睨していたのだ。


「お前が封印されているっていう悪魔か?」


「悪魔!?ハッハッハ!今ではそう呼ばれておるのか?面白い事を言う!アッハッハ!」

「お前は……悪魔じゃないって言うのか?」


「……ある意味悪魔かもしれぬが?教えてやろう!我は、この世界を破滅に導いた神!破壊神(自称)エメラダじゃ!そこにいるエリスロードの姉じゃ!のうエリスよ?久しいのう。迎えに来てくれて嬉しいぞ?」


「エリス様?本当ですか?」


「本当じゃ……このエメラダ姉さまは、わらわの前任の創造神なのじゃ!よもやこんなところで油を売っていたとは……エメラダ姉さまが世界を分割してしまってから、わらわがどんなに苦労しているか……」


「え?分割したのはエリス様では無かったのですか?」


「正確には……姉妹喧嘩じゃ……エメラダ姉さまは神界を、わらわがこっちの世界を担当していたのじゃが、姉妹喧嘩が原因で切り離してしまったのじゃ」


「我はそれで悪魔扱いされ封印されてこの有様よ?力が弱まっていたとはいえ油断したわ!アッハッハ!」


「エリス様どうします?」


「このまま封印しておくのが……良いかの?」


「ちょっと!待って!御免なさい!謝るから!お姉ちゃんを助けて!お願い!エリスちゃん!」


 神の像は慌てていて、像なのに冷や汗がだらだらと出ていた。なんか気持ち悪い。


「エメラダ姉さまは、巨乳で大人の美人なのじゃ……」


「あー」


 あの神の像は確かに……巨乳成分が多いように感じる。


「助けてくれたら何でも言うこと聞いてあげるから!ね?世界を元に戻すのだって手伝うよ?」


「間に合ってるのじゃ」


「もう、エリスちゃんの奴隷でもいいから解放してよ!」


「ほう……奴隷でもよいと?悪さはしないと誓うかの?」


「誓う!誓う!悪い事しないから!」


「では……わらわの旦那様の奴隷にしてやろうかの?」


「ええ?エリスちゃん結婚してるの?うそ?私より先に?えええええ!?」


 ああ……なんか知らない間に神様が俺の奴隷になるとか言ってるよ?


「婿殿……良いか?神聖術の隷属魔法をエメラダ姉さまにしたら封印解放じゃ」


「分かりました」


 俺は隷属魔法を使用し、エメラダを使役した後に封印の解放を行った。


「はぁ……はぁ……やっと、やっと出られたのじゃ。ありがとう……」


「俺はアリマ・エリスロードです」


「そうか、アリマちゃん♡ありがとう!うわぁん!もう、大しゅきしゅき♡!我、もう一生ついてくぞ!」


 エメラダは解放されてもちゃんと女神様の特有の服を着ていてすっごく美人だった。神の像そのままの姿で現れた時は驚いたよ?

 

 エメラダはエリス様の姉というだけあって髪はエリス様と同じ、さらっとした銀髪で腰くらいまである綺麗な髪をしていた。目も碧眼で大人の魅力にあふれていた。

 


 こうして、悪魔退治をするはずが……俺は、破壊神(自称)エメラダを使役してしまったのだった。

 




あとがき


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