第17話 私はリリアス教国の第5教女ルリアナと申します


 ドラ子を仲間に加えた次の日、俺たちはエリス様を連れ、次の眷属を探しにユグドラの町を出た。

 プリステラは、嬉しいことに俺達の旅に同行してくれるそうだ。良く分からないけど夜伽は任せて下さいと言っていたけど、何のことだ?コメは無いし、何を伽ぐのかな?


 あと竜車の御者は、そのままマーニャに任せている。


 ドラ子はエリス様に怒られ、すっかり意気消沈し、昨日は自分の事をわしとか言ってたくせに今では、自分をドラ子と言っている。名前気に入ったのかな?


 次の目的地は眷属レーダーによると、ここから南東の方角を指していた。


「南東には何があるんだ?」


「ここから南東の方角ですと……大きな湖があります」


 ティナ姫が答えてくれた。やっぱりこの人、俺の秘書で良くない?出来れば眷属化出来れば……いえ何でもありません。エリス様に睨まれたのでこれ以上は止めよう。


「だとすると、湖の中に眷属がいるのか?」


「いえ、その湖はリリアス教国の中にあって、リリアス自体はその湖に浮かぶ島国です」


「島国か、まぁ問題はないだろ?」


 湖の中にありますって言われたらどうしようかと思ったよ?


「じゃ行こうか、そのリリアスに?」


「でも、リリアスには結界が張ってあって通常ルート以外で入ろうとすると結界に阻まれる……」

「大丈夫、大丈夫。ここに誰がいると思ってんの?」


「女神様と使徒様、あと女神様の眷属様方です……あ」


 何かに気付いたのか、ティナ姫は納得といった表情になっていた。


「分かった?」


「はい」


「では、行くのじゃ!マーニャ頼んだぞ?」


「がってんにゃ!」


「それで……ドラ子はなんで竜車に乗っているんだ?」


 ドラ子は普通に飛べるよね?


「ええ?ドラ子だけ、乗せてくれないんですか?座席あいてるんだから乗せて下さいよ!?」


「それもそうか?」


 空いてるならいいのか?


 俺たちを乗せた竜車が走り出し、翼が生えたかと思うと、また空を飛びだした。


 この竜車が空を飛ぶのって不思議なんだけど、どうなってるんだ?


 まずは街道沿いに南下するようだな……。


「この先は?」

「レノールだね」


「レノール?」


「リリアスの玄関、湖だけど港町だよ?」


 どうやら街道沿いに南下すると、レノールという港町に着くらしい。


 しばらくすると眼下に……馬車が倒れているのを発見する。これは天罰フラグが怖いなぁ……。


「どうやらあの馬車は、リリアスのものらしい。王家の紋章が付いている」


「マジか、仕方ない助けてくるよ?ちょっと行ってくる」


 俺は飛んでいる竜車から飛び出し、飛翔魔法で飛んだまま襲われている馬車に群がる盗賊達を自動追尾ホーミング火球で葬っていく。盗賊の数は200人は居るか?


 取り合えず盗賊を全滅させたので馬車の様子を見に行く。


「派手にやられているなぁ」


 横倒しになった馬車は、中の人も無傷では済んでいないだろう。


「どうぞ、死んでませんように!」


 倒れた馬車に入ると、体に傷だらけの人が3人ほど倒れていた。ほぼ死にかけているな。


「折角助けたのに、これで死なれちゃ寝覚めが悪いよ?」


 仕方なく、俺は神聖術の回復魔法にて3人の致命傷を修復してあげた。


「これでもう大丈夫だけど……」


 馬車は大破してるし、これは放って置いたらまた死なれる可能性が高いなぁ。どうしたもんか。

 すると俺達の竜車が下りてきた。


「どうしたのじゃ?」


 結局相談して、助けた3人はそのまま竜車に乗せ連れて行くことにしたよ。


 レノール上空を通過して湖の上を飛んでいると湖の中に大きな大陸?島?が見えてきた。かなりの大きさがある島のようだ。


 リリアスの結界は島に近づくと張ってあるとの事だったので、このまま島の上空まで飛んで行き、そのまま結界をく潜り抜けた。


 え!?結界!?あったの!?


 今の俺には、この程度の弱い結界は意味が無い。伊達に眷属解放をしていないという事だ。


「そろそろ島に降りますにゃん」


「なるべく町の近くの森のあたりで」


 一応空から侵入したのが分からないように、着地点は隠しておく。


「眷属レーダーの反応はこっちだな」


 眷属レーダーの針は、この島でもひときわ大きい都市を指していた。




◇◇




 どうやら、盗賊から助けた3人の意識が戻ったようだ。


 一人はタキシードを着た初老の男。

 もう一人は真っ赤なドレスを纏った茶目茶髪でショートカットの美少女。

 3人目は白と黒のメイド服を着たこちらも美人の女性。


 初老の男が口を開いた。


「これは、たしか馬車が襲われて盗賊に襲われ、私は殺されたはず……そうだ!姫は!?」


 メイド服の女は信じられないという表情で話し始めた。


「どなたか知りませんが、姫様を助けていただき、ありがとうございます!」 

  

「えっと貴方は?」


「私はメイドのアリアンヌと申します」

「私はルリアナ姫の執事をしておりますベルマーチと申します。こちらにいらっしゃるのが」


「この度はわたくし達の命をお救い頂きありがとうございます!わたくしはリリアス教国の第5教女ルリアナと申します。以後、お見知り置きを」


 ルリアナと呼ばれた姫は、貴族がよく行う、見事なカテーシ―で挨拶をしてくれた。背は低く小学生のようなペタンコの胸が印象的だった。


「俺は、アリマ・エリスロード。女神エリスロード様の婿をやってます」


「「「えええええええええええええ!!!」」」


「そしてわらわが、女神エリスロードじゃ!」


「「「ええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!」」」


「ボクは女神様の眷属リリムです」

「わたくしは同じくアリマ様の眷属のエリス神聖国第三王女マリーシャよ?」

「私も女神様の眷属のパーラです」

「あたしも女神様の眷属のプリステラですよ?」

「私はエリス神聖国第一王女ティナリアだ」


「「「ええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!」」」




 ――これが俺とルリアナ姫との初めての出会いだった。





 


あとがき


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