第12話 優しくしてくれないと駄目なんだからね?




 ――女神エリスロード様がご降臨なされた、という……。

 

 エリス神聖国の建国前からの歴史でも前代未聞の報告は、城中を駆け巡った。


 エリス神聖国の信仰の対象である女神様がご降臨なされたのだから、それはもう一大事であったのだ。

 昨今の天罰の噂も相まって、次は自分の番かと恐れを抱くもの、ひたすらに神に祈りを捧げるもの、この世の終わりかと諦めるもの等々。


 報告は、王を退いた前聖王エイジスの元にも届いていた。実務は前聖王がこなしているので、報告も今まで通りとなる。


「何!?エリスロード様が……ご、ご降臨なされたと?それは真か?」


「はい!使徒様自らエリス様と……それはもう、ご夫婦仲睦まじくなされているとの事です、それから、マリーシャ様が女神様より眷属として認めれられたとの事です」


「なんと?マリーシャが眷属に?それは僥倖であるな。それでティナリアとミルラルネはどうしたのだ?」


「それが……、女神様のご意向で、ティナリア様とミルラルネ様との婚約は破棄されたとの事です」


「そうか、2人は女神様のお眼鏡に叶わなかったと言うことか……」


「取り敢えずは緘口令を敷いて、国民に不安を与えぬように頼むぞ」


「了解しました前王陛下」


 そして城では緘口令により、女神様降臨については話してはならないと言うことになったらしい。



◇◇



 ――エリス聖城 新王アリマ・エリスロード控室。


 俺は一応、エリス神聖国の王として、聖城の一角に部屋を貰っている訳だけど、エリス様からの試練があるので、ずっとここに留まることは出来ない。


 ただ、……試練の眷属解放すると嫁が増えるなんて……聞いてませんよ!?エリス様!?


 それと、エリスロード様の扱いについてなんだけど、流石に神様という事で……恐れ多くてエリスロード様の眷属である俺たち以外は、誰も近づこうとはしなかった。


 それもそのはずで、既に狂信派の消滅という凄まじい天罰が起こった後の事もあり、みんな女神様の天罰が怖いのだ。


 触らぬ神に祟りなしとは、まさにこの事を言うのかな?


 女神様相手に下手なことを言ったら、とんでもないことになるので、近づくなという事なんだろうね。女神様としちゃった俺が言うのもなんだけど、みんな信心が足りないよ?


 という事で、今俺がいる部屋には、俺の他にエリス様、リリム、そして新しく眷属に加わったマリ姫がいて、宿屋の店主のパーラに城まで来てもらったので、エリス様を囲んで4人の眷属が顔を合わせていた。


「改めて、婿殿よ眷属解放の方は、一人目クリアと言うところじゃの?」


「はい、これでエリス様に一歩、近づくことが出来ました」


「喜ぶのはまだ早いのじゃ。一人なのじゃ」


「はい」


「それと、リリムの子孫のマリーシャよ、新たな眷属として改めて歓迎するのじゃ。わらわの力を分け与えたのじゃから、婿殿に良く尽くして励むように。自らの研鑽を怠るでないぞ。それと、眷属は寿命なぞ無いからの?心して尽くすのじゃ」


「ひゃい!女神しゃま!ありがとうございます!」


 マリ姫は緊張しちゃって、セリフを噛んじゃってるよ。


「次に、リリムよ。お主には苦労かけたの?無事眷属解放出来たという事は、婿殿を気に入ってくれたようじゃな?解放術者への愛が無ければ、眷属解放は出来ないからの?」


「エリスロード様。悪いとは思ったんだけど、ボクはアリマを好きになってしまいました」


「うむ、それで良いのじゃ。遠慮せず婿殿を支えるのじゃ」


「はい!ありがとうございます!」


「で、問題は城まで呼んでもらったパーラじゃが」


「お呼びかしら?エリスロード様?」


「パーラよ、お主は宿屋ばかりしとらんで、婿殿ともっと親交を深めるのじゃ!なぜ一緒に行動しておらんのじゃ?」


「あらら、リリムが煮え切らないから、順番を待っていただけよ?」


「待っていたと言っても、デートすらしておらんじゃろ?リリムのように、婿殿と同衾イベントくらいはしてもらわんと、取れ高が増えんじゃろ?」


 同衾イベント?取れ高って?何させる気ですか!?エリス様!?


「うふふ、リリムも攻略済でしたら、次は私の番でいいのかしら?」


 手順を踏もうね?飛ばさないでね?


「気持ちが足りておらんの?それならまだマリーシャの方が、婿殿の事好きじゃろ?」


「ふぇ!?ひゃい!私は、アリマ様の事はす、しゅきでしゅ!」


「じゃろう?気に入ったから、今日はマリーシャで眷属解放するのじゃ。これは命令じゃ♡」


「え?は、……はい分かりました?」


「それとパーラは、デートの準備でもしておくのじゃ!」


「アリマさん?エッチなデートにしましょうか?うふふ」



 女神様と眷属の会議は、マリーシャとの眷属解放とパーラとのデートという結論にて終了したのだった。


 俺、いつになったら、再び旅に出れるのかな?



◇◇



 マリ姫は、「ちょっと、お風呂くらい入らせなさいよ」と言って入浴しに行ってしまったので俺も風呂に入ることにした。


 お城のお風呂に案内してもらうと、脱衣所もスーパー銭湯並みに広いし、湯船も同じように広いつくりになっていた。王家って贅沢しすぎじゃない?俺が使う分にはいいけどね。


 さて、体を洗おうとお風呂に用意されていた椅子に座った時、ガラッっと扉が開く音がしたので扉の方を振り返ると……。


「お背中、お流しします。すみません」

「背中くらい流させてくれ」


 第一王女の美乳ティナ姫と第二王女巨乳のミル姫が裸にタオルを巻いて入ってきた。


「ええ!?」


 ちょっと待って!?ギルティは?


「お嫁さんにはなれませんでしたが、せめてご奉仕させて下さい。こんな私ですみません」

「眷属にはなれなかったけど、このくらいはしないと気が済まないんだ」


「ちょ、えええええ!?」


 俺は二人に挟まれてそのまま……あっちこっちを洗われてしまった。


 ……これは浮気じゃないよね? 例えればメイドさんのご奉仕のような感じ?


 エリス様が来ないって事は、顕現済の場合は監視まで出来ていないのかな?


 もう、あっちこっち気持ち良かったので、俺はスタンバイ完了になってしまった。


 奉仕してくれるのは良いんだけど、寸止めはするならやめて欲しい。うん、やばいんですよ?


 そのまま風呂を出て、寝室に戻るとガウン一枚を羽織ったマリ姫が待っていた。


「アリマ様?解放術ってこんな格好でするんですの?」


「うん、ガウンも脱がないと出来ないけどね?」


「ふぇぇ!?脱ぐんですの?」


 マリ姫の顔は、あまりの恥ずかしさに真っ赤に染まってしまった。


「脱がないと出来ないよ?」


 マリ姫は唇を嚙んで、躊躇した表情を見せるが、意を決したのかガウンに手をかけた。


「や、優しくしてくれないと駄目なんだからね?」


「善処するよ?」


 マリ姫の美しい裸体に目を奪われる。リリムによく似た体形だけど、肌の艶、小さくても弾力のある乳房、すべてが綺麗だった。


「解放術式、オープンするよ?」


「はい!来てくだ……はぅ!んん♡……はぁ……はぁ!すごっ……あたま……おかしくなっちゃう!んん!ん、あああああああああああ!」


「いくよ?」


「来て!きて!んはっあああっあああああ!」


「眷属解放!」


「いっあ!んはぁ♡あああああああああああああああああああああ!!」


「はぁ……はぁ……アリマ様の力が私の中に入って……力が溢れてくるの!」


 ……こうしてマリ姫の眷属解放は終了した。


 眷属解放の影響で、マリ姫の眷属としての力が俺に注ぎ込まれ、俺の力はさらに上昇することになったのだった。








あとがき


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