第16話 初めてのお誘い
「勉強もそんな余裕無くて、ボッチだったら、澪の高校生活しんどそう」
澪の思うようにならない心の嘆きに、同情している那知。
「だからこそ、こういう状態の私にとっては、土田君の存在が、天使のように神々しいの!」
ずっと無理そうな際どいところで勉強をし続け、クラスでは孤独な毎日でも、土田と同じ高校を選んだ事を澪は、決して後悔してない。
現に今、少しずつではあるが、こうして土田に近付く事を達成出来ているのだから。
「あんなビッチ女子なんかに負けないように頑張れ、澪!」
「那知に言われなくたって、もう突き進むしかないから、もちろん、そのつもり......えっ、待って、うそみたい~!」
【mokk】でツイートしたハロに、【クモノスケ】が『いいね!』のハートマークを付けて、ダイレクトメールまで届いていたのだった。
「見せて、澪。わっ、DМまで送られていて、スゴイ快挙じゃん!」
「信じられない!初めて、土田君からDМを貰っちゃった~!」
その【クモノスケ】からのメッセージの内容は
『似たようなタイミングで、同じようなハロ撮影しているようなので、もしかして、道内在住ですか?』
そのダイレクトメールに対しても『いいね!』をして、慌てて返信する澪。
『はい、空知在住です』
初めてのDMに対し、北海道在住なだけと答えるのは味気ない。
かといって、そのままストレートに市町村名を書いて、同じ所に住んでいるアピールをするのは、現時点であまりにも軽率そうに思えた澪は、大まかに地域だけを書いた。
(土田君と繋がっている空の下にいられるシアワセを今、まさにひしひしと感じてしまう!まさか、土田君じきじきにDМを貰える時が来るなんて~!Twitterやってて、ホントに良かった~!)
浮かれ調子の澪とは逆に、あまり浮かない様子の那知。
「なぜか那知と一緒の時にばっかり、土田君とバッタリ会う事が多いから、何だか那知の方が土田君と御縁が有りそうで、すごく悔しかったけど、Twitterを見て安心しちゃった~!やっぱり、私と土田君こそが運命に導かれているんだよね~!」
いつの間にか、那知をライバル視していた澪が、このダイレクトメールを貰った時点で、那知よりはるかに優位に立った気持ちになっていた。
「そうだったらいいね~」
急に、あまり乗り気ではない様子になっている言動の那知に対し、彼の土田への気持ちに疑問を感じる澪。
「何だか、イヤな感じな言い方しているよね、那知......あっ、見て見て、スゴイ!また、土田君から返信来たよ~!向こうも、どうやら【mokk】に興味津々みたいなんだけど!あ~、どうしよう!現実と同時進行形で、まさかTwitterでも急接近出来るなんて!なんかもう、頭がパンクしそう~!」
澪が興奮むき出しで嬉しさの悲鳴を挙げるほどの【クモノスケ】からのメッセージは......
『同じく、僕も空知在住です。一緒の地域に住んでいるのも何かの御縁と思うので、もし良かったら、今度、雲が良い感じの時に、オフ会しませんか?』
「オフ会って、これ、DMだし、私と土田君の2人っきりって事だよね?嘘みたい!2人っきりなんて、もろデートみたい!」
即答でノリノリ状態を晒すのは、さすがに土田から、待ってましたとばかりの暇人と思われそうで、取り敢えず『いいね!』だけにして様子を見る事にした澪。
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