第5話

#Vincent story 1


オペラ劇場までは、すぐだな。


昨日メアリにスケジュールを聞いておいた。


出番まで、まだ時間がある… よし、 寄るか。



進路を変え、街の広場通りを横切る。



緑樹の並木通り、河川敷から架橋を

抜けていく。


景色がうしろに飛び、風の吹く音に相棒が

唸る。


自由に飛び回る、イーグルになったような、


最高の疾走感だ。




目的地に到着。



エンジンが温まった相棒を止めて、

ヴィンテージゴーグルを外す。


石造りの建物、倉庫にウォルナット、

オーク材が積まれている。


置かれた椅子は、装飾模様により、

特に美しく、目を引く。


深みのある色の、力強さ、繊細さが伝わってくる。


漢が、作業の手を止めて、こちらに

歩み寄る。

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