第6話

#Vincent story 2


コロネル・ヴィヴル。


一世紀よりも、さらに半世紀程前から、

エリザベール一族との所縁で、装飾調度品の

仕立て屋の、三代目をしている。

俺の親父だ。


コロネル家は、エリザベール公爵から認定

施工契約を賜って、一族のお抱え家具屋を

している。


今でこそ俺はベーカリー&レストランだが、

一応まだ、家具装飾職人として、こうしてたまに親父の元に来ては、作業、仕上げの工程を手伝い、交流している。




「忙しそうだな、親父」


「お陰さまでな。人手は足りねぇ。ちょうど、お前に塗り、残してあンだが、そっちで頼めるか?」


「物によるが、いいぜ。この後は、ちと用事

あるんで、難しいんだが」


「ルーちゃんだろ?ソレは急ぎじゃねぇ

から、また後で、うちのモンに品物

運ばせておくよう、言っとくぜ」


「ああ。なら…店の奥に運んでおいてくれ。

マルタンって言う、駆け出しの芸術記者が

いるんだが、特集取材をしたいそうだ。

うちの常連客のひとりでな。若い割には、

物を見る目がありそうだが、、

頼まれるか?」


「お前の目利きなら大丈夫だろ。いつでも連絡してこい」


ヴィヴルはそう話し、工房に戻って行った。

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